日記
Winny (13:48)Edit

2、3日前からWinnyを試してみているんだけど、これはシステム的に面白いなー。別にダウンロードしたいものは特にないんだけど、システムの挙動を見ているのが楽しいんで、いろんなファイルをダウンロード設定してそれが落ちてくる様子を眺めつつ、その内部での挙動を想像してみたりしている。接続状況とか転送状況とかみていると無意味に時間が過ぎていってしまうよ。WinMXとかみたいな旧型P2Pファイル交換システムみたいに、即物的(ファイルを効率的にP2Pでやりとりしておしまい)じゃなく、そのシステムの挙動の背景に思想が内包されているあたりが楽しいな。

現在はそこそこユーザー人口があるみたいで、出回っているファイルも結構多いみたいだ。このユーザー達は、やっぱりWinMXを使っていたんじゃ著作権侵害で逮捕される可能性が十分に高いけれども、Winnyならばその危険性が限りなく低いと信じて流入してきた人たちなんだろうなー。でもWinnyのシステムは「逮捕される危険性が低い」と言うよりは、「赤信号、みんなで渡れば怖くない」と言った方が正確な気がする。WinMXでは「赤信号を渡った少数者だけが逮捕される可能性があった」けれども、Winnyでは「ネットワークに参加する人すべてに、強制的に赤信号を渡らせる(ファイル転送の中継役をやらせる)ことによって、全員が逮捕される可能性をもたせる(危険性を均す)=物理的に逮捕するのが困難(対象が多すぎるし、突出して目立つ人間も見あたらない)な状態にする」システムなんじゃないか。

ただし、「物理的に逮捕するのが困難」ってのはあくまでも利用者側がそうであって欲しいと思っているだけのことで、警察が「Winnyネットワークに接続している人間すべてを逮捕する」という過激な判断を下して、「対象者の中から手近な人間を順次捕まえていく」なんて行動に出た場合は、別に逮捕することが困難ではなくなってしまう。Winnyシステムにおいて、ファイル転送の当事者同士を特定することは難しいかもしれないけど、Winnyネットワークを構成する(ある端末と直接接続している)ランダムな人間(IPアドレス)を特定するのはさほど難しくないはずだ。まあ警察がそこまでやる可能性は低いとは思うけれども、Winnyの安全性を過信するのはやめておいた方がいいと思う。

あと、ネットワーク参加者がリソースを提供しあう(キャッシュ領域を提供し、ネットワーク負荷を分散する)というのはいい考えだと思うけれども、もうちょっと分散の度合いを高めないとうまく回らないだろうなーという気がした。現状だとごくごく少数の、過剰にリソースを提供している人たちに依存しすぎているんじゃないかな。1Gバイト・50kB/s程度のリソースを1000000人くらいで分散すると、かなりいい感じの分散ができそうだけど。現状では(まったく根拠はないけど)200Gバイト・500kB/sを提供している100人くらいのコアユーザーがリソースを安定して供給しているだけなんじゃないかなー。まあこういうユーザー数を集めて云々ってシステムで、ユーザー数が集まった状態を仮定して理想的なシステムを設計するのは現実的には意味がないとは思うけど(作者は現状のユーザー数にあわせたシステムを設計しているんだろう)。

ちなみにWinnyに関しては、個人的にBBS方面(ファイル共有というよりも、情報共有・交換のシステムとして)の可能性をもっと追求して欲しい気がするんだけど、大多数のユーザーはファイル交換システムとして興味を持っているんだろうから、そっち方面はあんまり発展しないんだろうなー。

まあひとまずとても面白いシステムだと思うんで、その手のシステムに興味がある人は一度試してみるといいかも。それにしてもなんで、こういう便利なシステムの有償代替物が出てこないんだろうなー。この手の違法性の高いシステムと同じくらいユーザビリティの高い有償代替物がとっとと出てきて欲しいよ。

そういや、Winnyでファイルが転送されている様子を見ていると、一昔前のUUCPベースのインターネット界ってこんな感じだったんだろうなーと想像してしまう。

Published At2003-01-07 00:00Updated At2003-01-07 00:00