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今の4強の特徴をうまく説明してくれEdit

今の4強の特徴をうまく説明してくれをやってみる。

  • フェデラー: 強力なフォアハンドと球種とコースが絶妙なサーブを中心に、自らポイントをもぎ取る能力が高い超攻撃的オールラウンドプレイヤー。圧倒的な実績に裏付けられた強いメンタル。体に負担をかけない効率のいいボディコントロール。片手バックハンドの構造的な弱点(高い打点)だけはどうしても完全には克服できないが、そこをつける敵は限られている。30歳を過ぎてフィジカルは衰え気味。
  • ナダル: 強力なフィジカル(筋力)を背景に、オープンコートに打ち込まれた球でもコースが読めていれば追いつける驚異的なフットワークと、ミス(バックアウト)せず強打し続けることができる高く跳ねるヘビースピンストローク。無理に攻撃しなくても、そのストロークのパワーとコートカバーリングで相手を圧倒できることが多い。そのディフェンス力の高さから、球足の遅いコート(特にクレー)では圧倒的に強い。フィジカルの負担が膝の故障につながりがち。
  • ジョコビッチ: ディフェンシブなプレーを得意としながらも、自ら攻撃していく頻度も高いストローカー。ベースラインストロークは攻防ともに非常に高い能力を持つ。サーブも多少不安定なところはあるが強力。ネットプレイ(+ドロップショット)なども実戦でトライすることが多く、そのレベルを徐々に高めつつある。グルテン(小麦粉)アレルギー発覚以降の食事制限によってフィジカル的な問題(呼吸器障害)を克服した。集中するポイントではサーブ前の玉突きが長くなりがち。
  • マレー: 恵まれたフィジカルとテニスセンスを持つ才能あふれるプレイヤー。あらゆるショットに高い能力を持ち、特に長身から打ち下ろすビッグサーブとフットワークを活かしたカウンターショットが優れている。母国イギリスでの期待が大きくそのプレッシャーがあるためか、メンタル面の揺らぎが見え隠れすることも多く、それがプレーの不安定さにつながることがある。初グランドスラム(全米)制覇でメンタルが安定すれば1位も狙える。
もっと短くまとめたかったけど、いまいち長くなっちゃうな。

Published At2012-09-12 18:57Updated At2012-09-12 18:57

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ATPシングルスランキング@2012/1/30Edit

最新ランキングが更新された。ATPトップ20は以下。

Djokovic, Novak (SRB) 13,630 0 19
Nadal, Rafael (ESP) 10,435 0 20
Federer, Roger (SUI) 8,010 0 19
Murray, Andy (GBR) 6,900 0 20
Ferrer, David (ESP) 4,565 0 23
Tsonga, Jo-Wilfried (FRA) 4,425 0 25
Berdych, Tomas (CZE) 3,700 0 23
Fish, Mardy (USA) 2,965 0 23
Tipsarevic, Janko (SRB) 2,700 0 28
10 Del Potro, Juan Martin (ARG) 2,630 1 22
11 Almagro, Nicolas (ESP) 2,380 -1 28
12 Simon, Gilles (FRA) 2,005 2 27
13 Monfils, Gael (FRA) 1,970 2 24
14 Soderling, Robin (SWE) 1,940 -2 21
15 Lopez, Feliciano (ESP) 1,890 4 27
16 Gasquet, Richard (FRA) 1,855 2 20
17 Isner, John (USA) 1,800 0 25
18 Dolgopolov, Alexandr (UKR) 1,760 -5 29
19 Roddick, Andy (USA) 1,745 -3 19
20 Nishikori, Kei (JPN) 1,680 6 25
ついに錦織がトップ20に入ってきたよ。もう一目で全体が把握できる数しか上に残っている面子がいないよ。

上位の中では、デルポトロはまだ上にあがっていくだろうな。マレーの壁に阻まれるか、マレーの壁を越えてトップ5体制になるのかは興味深いところ。

フィッシュ、ティプサレビッチ、アルマグロあたりは、今年1年このランキングをキープできるだろうか。現在をピークとしてじわじわ下がってきそうな気がする。

ソダーリンはまだまだ復帰できないみたいだし、いったんは上位から去ることになるんだろうな。

そして、トップ4を除いた面子を見ると、直接対決で錦織が特に分が悪い相手というのは、それほどいない。相性的にティピサレビッチやガスケはちょっと気持ち悪いが、ディフェンスベースの戦い方を覚えた錦織とはまだやり合っていないから、そこであっさり相性問題を解消できるかもしれない。

というわけで、ここからさらにランキング上位を狙っていく上で、トップ4以外は特に大きな障害にはならないように見える。それよりも問題は、スケジューリングやコンディショニングを含めて、どれだけ錦織が安定感をもてるかというところ。

もともと錦織は試合に勝つ能力は高かったが、ここから問題になってくるのは、試合に負けない能力。特にスケジューリングやコンディショニングが多少難しい大会において、簡単に1回戦負けをしない能力が重要になってくる。

ひとまず目先は来週のデビスカップ。そこでシングルスに2勝して80ポイント獲得できると、非常に体力的に楽なポイント稼ぎになる。まあデビスカップはいろいろ条件が複雑なので、実際にどうなるかはわからないが、少なくとも初日のシングルスで1勝して40ポイントはゲットしておきたいところ。

それが終わると、今度は通常のツアーモードになるんだけど、そこからが今年ランキングを上げるための本番になる。

ATP250、ATP500大会で1回戦負けしないようにしっかりポイントを獲得しつつ、大会で勝ち進むほどに翌週(翌大会)に向けてのコンディショニングが厳しくなる辺りをどう調整していくか。

錦織も今年は、勝てば勝つほど体力的に厳しくなり、それがどんどん蓄積されていくというジレンマに直面することが多くなるだろう。というか、そういうジレンマに直面するくらい、安定した戦績を残して欲しい。

そして、できるだけ早い段階でそのジレンマを克服して、安定した戦績を残しながらも、怪我なくツアーを回るスタイルを身につけて欲しい。最悪のパターンは、連戦で怪我による棄権や長期離脱が発生してしまうことだ。

Published At2012-01-31 12:51Updated At2012-01-31 12:51

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2012全豪オープン14日目&総括Edit

  • Novak Djokovic(SRB)[1] def. Rafael Nadal(ESP)[2] 5-7 6-4 6-2 6-7(5) 7-5

いやーもうすごすぎた。詳しくはTwitterでの実況ログを。

体力的にはかなり厳しいスケジュールだったジョコビッチだけれども、思ったよりも体力は回復しており、序盤の動きは悪くなかった。ただし、どうにもらしくないミスが多く出ていて、ファーストセットはナダルが先取。

てっきり体調に不安がないのならば、ジョコビッチが序盤から優勢な展開になると思っていたのに。

しかし、セカンドセットからは地力の差、あるいは相性の差が出始める。セカンドセット、サードセットはジョコビッチが支配する展開で連取。

そのままフォースセットもジョコビッチが取りきるかと思っていたのだが、ナダルがそこから粘った。苦手な攻撃的なプレイを混ぜ始め、調子のいいジョコビッチからフォースセットをタイブレークの末取って、2セットオールのタイに持ち込む。

ジョコビッチはフォースセットの終盤タイブレイクに入ってからは、体力切れを気合いでごまかす状態になってしまっていた。

そしてファイナルセット。勝ちパターンを逃し、体力もきれて動きが悪くなったジョコビッチに対し、まだ体力に余裕があるナダルが先にブレイク。

完全に終わったと思ったところだが、ジョコビッチはそこから粘った。体力切れでフットワークは落ちているが、ストロークには集中できていてのびのあるいい球を打ち始める。逆にナダルはここに来てじわじわとフットワークに陰りが見え始め、ジョコビッチにすぐさまブレイクバックを許してしまう。

あとはもうどちらも1ポイント1ポイントのせめぎ合い。きわどい球でポイントを取り合うが、ナダルがここに来てフットワークが後一歩足りない感じのミスを増やし始め、ジョコビッチが先にブレイク。

しかしナダルもあきらめない。次のジョコビッチのサービングフォーチャンピオンシップでブレイクポイントを握る。どちらも体力がきついが、まだナダルの方がわずかに余力がある。これをブレイクバックできればナダルが有利になる。

しかしジョコビッチも後がないのをわかっていて、自分から攻撃してポイントを取り返し、ブレイクポイントをセーブ。しかしまだナダルの方に動きの躍動感がある。ジョコビッチは何とかついて行く状態。

ナダルはファイトを続ける。ナダルらしからぬ低い弾道のストロークがコードボールになる。1度目は何とかコート内におさまるが、2度目のウィナーを狙った球はコードにはじかれ、アウトになってしまった。コードにあたらなければジョコビッチは追いつけなかっただろうか。

そしてチャンピオンシップポイント。ナダルは、ボディよりに来たストロークをうまくさばけずに、体の正面近くでスライスに逃げようとしたがミスヒット。ネットを超えず、(←ほかのポイントと記憶が混ざった模様。見直してみたら全然違った。ジョコビッチのサーブで崩してからのフォアハンド逆クロスウィナーだった)ジョコビッチの勝利。

どちらが勝ってもおかしくない、本当にぎりぎりの勝負だった。しかし、フィジカルが万全の状態ならば、ジョコビッチがナダルを上回っていることも、再び証明された試合でもあった。

というわけで、今大会のベストマッチは以下。異論は認める。

Published At2012-01-30 11:41Updated At2012-01-30 11:41

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2012全豪オープン13日目Edit

  • Victoria Azarenka(BLR)[3] def. Maria Sharapova(RUS)[4] 6-3 6-0

シャラポワの、あまり角度をつけない強打一辺倒の攻撃は、完全に攻略されてしまっていたね。シャラポワのテニスの内容が悪かったというのではなく、シャラポワの戦術の幅のなさが悪かった。というか、WOWOWの事前採点でシャラポワの戦術を5点満点に評価していたのって誰?

あと、わかってはいたけどああいう競り合いになると、シャラポワのフットワークのなさはひどいな。手が届く範囲の球の強打の安定感に比べて、振られたときのショットクオリティがあまりにも低い。

アザレンカは、序盤わかりやすく緊張していて、振れていない感じだったけれども、すぐに堅さがほぐれたのが良かったね。初GS決勝のプレッシャーに慣れるのに、ほんの1、2ゲームしかかからなかったのは、メンタル的にも有望。

内容的にも、シャラポワよりも技術の幅も広いし、パワーでも負けていなかったし、とても上手くて強い戦い方だった。低い球をしっかり腰を落として対応しつつ、しかもスピン量を増やしてコースを厳しくしたりもできていて、ストロークのバリエーションだけでもシャラポワよりも上だった。

今後のWTAは、アザレンカとクビトバがメインで引っ張りつつ、それをGSでは妨害するベテラン勢って構図になっていくのかな。ウォズニアッキもポイントランキングではまだまだ上位で戦えるだろうけど、GSを取れるようになるには何か大きく変えていかないとだめだろうな。

さて残りは男子決勝。

  • Novak Djokovic(SRB)[1] vs. Rafael Nadal(ESP)[2]
ジョコビッチの体力はどのくらい回復しているのか。ナダルはジョコビッチに連敗している状態を変えるための何かを見つけ出しているのか。

序盤ジョコビッチがナダルを圧倒するが、勝ちきる前にジョコビッチの体力が切れ、それでも何とか一方的な展開になるのを阻止しようと粘るが、最後はナダルが体力勝ちするという展開を予想。

ジョコビッチが勝つためには、序盤からナダルを圧倒して試合時間を短くしつつ、普通ではあり得ないが、ナダルが序盤で心が折れるような展開に持ち込まないと難しいかな。

Published At2012-01-29 11:35Updated At2012-01-29 11:35

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2012全豪オープン12日目Edit

  • Novak Djokovic(SRB)[1] def. Andy Murray(GBR)[4] 6-3 3-6 6-7(4) 6-1 7-5

序盤はクオリティの高い長いラリーが続く、さすがジョコビッチとマレーと感心する試合内容だったのだが、ジョコビッチがセカンドセット早々に如実に体力切れとわかる動きになり、それに対するマレーも自分からのイージーミスが減らせず、一気に勝ちきれない展開になると、これは好試合なのか駄試合なのか、非常に判断に迷う内容になっていった。

そして、ジョコビッチがメンタルの力で体力切れの体を何とか動かしているうちに、マレーまでも体力切れの様相を見せ始め、双方体力切れの体を振り絞って戦う、好試合になっていった。ただ、これは俺が期待してたんとちゃう。

サードセットのタイブレークをマレーが取ったが、それでもマレーのメンタルを考えると優勢とは思えない状態。実際フォースセットは追い詰められて体力の限界を超え始めたジョコビッチがあっさりと取り返す。

そして、ファイナルセット。こうなってしまってはもうマレーの勝ちはないかと思ったのだが、ジョコビッチが1ブレイクアップで迎えたサービングフォーマッチを、予想外にマレーが奪い取って追いつく。この辺りはマレーのメンタルの成長と取っていいのか。

さらに、5-5のジョコビッチのサービスゲームで、ジョコビッチが15-40とほぼ試合を決定づけるような二つのブレイクポイントを握られる。ここを取っていればマレーが勝てたのだろう。ジョコビッチにも余裕がなかった。しかしジョコビッチはこの大ピンチをなんとかセーブしてキープする。

続く5-6からのマレーのサービスゲーム。ジョコビッチと同じく15-40という大ピンチを迎えるマレー。しかしマレーはこのピンチをしのぎきれず、ジョコビッチに攻めきられて、マレーは守りきれずに、ジョコビッチの勝利。ほぼ5時間のロングマッチを序盤から体力切れで実力を発揮しきれなかったジョコビッチが制した。

これがジョコビッチとマレーの差なんだろう。マレーもサーブ自体は追い詰められても入っていたんだけれども、ストローク戦で後手後手に回って負けてしまった。

ジョコビッチは最初からずっと自分から相手を振り回していき、リスクを取って戦い続けていたので、どんな状態でもしっかり前向きに戦えていた。マレーはどうしても相手が仕掛けてからのカウンターがメインになってしまうため、いざというときに相手の動きに合わせてしまうことが多い。それでも通常ならば十分戦えるけれども、本当に大事なポイントで自分からポイントを作っていけないのはきつい。

試合を通して見るとやはり大事なところでのサーブの入りや、セカンドサーブのクオリティはいまいちだったが、最後の最後ではファーストサーブがしっかり入っていたので、その部分はマレーも克服してきているように見えた。

が、やはりディフェンス&カウンター主体のストローク戦は、GS準決勝・決勝ではトップ3に対して厳しい。いつでも自分から攻撃した方がいいとまでは言わないが、もっと自分から攻撃する頻度を増やして、大事なポイントで自分からポイントをもぎ取ることになれておいた方がいいのでは。

一方勝ったジョコビッチだが、ヒューイット戦、フェレール戦、マレー戦と、5セットマッチの中盤から体力がきれて動きが悪くなっている。マレー戦に至っては試合時間と内容が濃かったせいもあって、中盤と言うよりは序盤から動きが悪くなっていた。

それでもマレーにまでは勝ちきれたが、こんなフィジカルでナダルにも勝ちきれるのだろうか。体力的に完調のジョコビッチならば、今回の調子がいいナダルに対してもかなり優位に戦えるはずだが、さすがにマレー戦の2セット目以降のような動きだったら、ナダルは見逃さずにあっさり勝ちきってしまうだろう。

特に日程的にはナダルよりもジョコビッチは不利なので、フィジカル的なマイナス面はかなり大きそうだ。今回は序盤ジョコビッチが押し勝つが、セカンドセットからサードセットで体力がきれたジョコビッチを、ナダルがしっかりと押し戻して逆転勝ちする展開になるのではないだろうか。

13日目の試合。

  • Victoria Azarenka(BLR)[3] vs. Maria Sharapova(RUS)[4]
女子シングルス決勝。アザレンカが勝って、ますます女子は混戦になると予想する。

Published At2012-01-28 16:51Updated At2012-01-28 16:51

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2012全豪オープン11日目Edit

  • Victoria Azarenka(BLR)[3] def. Kim Clijsters(BEL)[11] 6-4 1-6 6-3

ファイナルセット、アザレンカ優勢の展開ながらもクライシュテルスが怒濤の追い上げモードに入り、非常に厳しい攻撃を仕掛けてきたのに対して、しっかり攻撃を仕返して勝ちきったアザレンカ。GSを取るための試練を受けて、それを見事に乗り越えたように見えた。

GS準決勝という場ではあったが、このプレッシャーを乗り越えられたのならば、アザレンカはGS決勝でのプレッシャーも乗り越えられるのではないか、と感じられた。

  • Maria Sharapova(RUS)[4] def. Petra Kvitova(CZE)[2] 6-2 3-6 6-4
逆に、クビトバはシャラポワの攻撃に対して、最後技術やフィジカル的ではなく、メンタル的に押されてしまっているように見えた。すでにGSを取った経験があるクビトバなのに。一方のシャラポワはさすが。メンタルはやはりすばらしい。

女子シングルスSFの結果は、どちらの試合も予想とは逆になってしまった。決勝の予想としては、クライシュテルスの洗礼を乗り越えたアザレンカが、シャラポワの単調な強打を跳ね返して勝つのではないかと思っているのだけれども、全然予想が当たる気がしないなー。

GS決勝のプレッシャーはまた別物で、アザレンカが最後にへたれて負けちゃうのかも。

  • Rafael Nadal(ESP)[2] def. Roger Federer(SUI)[3] 6-7(5) 6-2 7-6(5) 6-4
そして、こちらの結果も私の予想とは逆だった。まだ私はフェデラーが強かった頃の幻想を信じすぎているのかなー。でもファーストセットのできを見たら、やっぱりハードコートではフェデラーの方が上のように思えるのだが。

ファーストセットのフェデラーのできはすばらしかった。ナダルはまだエンジン全開という感じではなかったが、それでもフェデラーのミスは少なく攻撃は厳しく、ナダルのディフェンスを上回る早い攻撃を仕掛けてポイントをどんどん取っていった。

しかし、ナダルが徐々に調子を上げていき、スーパーディフェンスやスーパーカウンターが顔をのぞかせ始めると、フェデラーのミスが増え始めた。

普通に決めにいったのではナダルに拾われてしまう。カウンター攻撃を受けてしまう。

そういうプレッシャーにより、狙い球がより厳しい方にずれ、ドロップショットは後一歩でネットを超えず、オープンスペースを狙った鋭いストロークは低く狙いすぎてコードに阻まれた。

それでもサーブの強さを活かし、セカンドセット以外は競った展開を作り出したが、ナダルの安定した強さを乗り越えることはできなかった。

ナダルは安定して強い球をしっかりと返し続け、振り回されても振り回されてもディフェンスし、フェデラーのウィナーにしか見えない攻撃に対してスーパーカウンターを狙っていった。フェデラーはすばらしい攻撃もみせるが、どうしてもミスを減らすことができなかった。

ファイナルセットの終盤、ナダルのマッチポイントをしのいだフェデラーのプレーは、さすがフェデラーという内容だったが、なぜあのプレーがあそこまで追い詰められる前にできなかったんだろう。その辺りがやはり年齢による影響なんだろうか。あのプレーがもっと早い大事な局面で出せていれば、試合結果も変わっただろうに。

一方ナダルはフェデラーの逆襲に遭っても動じず、しっかし跳ね返してみせたのは、フェデラーよりも大事なポイントでギアを上げて結果を出す能力が高いということか。

12日目の注目試合。

  • Novak Djokovic(SRB)[1] vs. Andy Murray(GBR)[4]
ナダルの相手はどちらになるのか。

ジョコビッチには、ヒューイット戦途中でみせた謎の疲労による失速と、フェレール戦で起こった左足太ももの怪我の影響という、二つのフィジカル的な問題がある。一見どちらも大きな問題ではなさそうに見えるが、それはジョコビッチが今後のことを考えて、できるだけ問題が小さく見えるように振る舞っているだけかもしれない。

一方のマレーは、体調的には盤石だろう。ここまでフィジカル的な問題はほぼ出ていないし、楽な勝ち上がりを続けてきているので、体力にはまだ余裕があるはずだ。錦織戦の内容は、マレーにしてはいまいちだったが、対ジョコビッチということでしっかりテンションを上げて試合に臨んでくるだろう。

ただ、ここまでマレーはあまり自分から攻撃するプレイをしてきておらず、ジョコビッチ戦ではそれでは勝てないので、自分から攻撃する展開を使ってくるはずだが、そこで安定したプレイができるだろうか。

去年の楽天ジャパンオープン決勝のナダル戦のように、しっかり自分から攻撃してポイントを取っていくプレイが最後までできれば、GSという舞台でも、相手がジョコビッチだろうがナダルだろうが勝ちきれる能力はある。

しかし、攻撃がうまくいかず、メンタルが不安定になり、ファーストサーブの入りが悪くなったら、ジョコビッチに勝てる気がしない。

現時点のコンディションだけを見たらマレーが優勢。しかし実績などを加味すると、ジョコビッチが優勢といった感じか。さあどうなる?

Published At2012-01-27 02:56Updated At2012-01-27 02:56

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2012全豪オープン10日目Edit

  • Petra Kvitova(CZE)[2] def. Sara Errani(ITA) 6-4 6-4
  • Maria Sharapova(RUS)[4] def. Ekaterina Makarova(RUS) 6-2 6-3

女子シングルスは順当な結果で、若手実力派とベテラン実力派の組み合わせがそれぞれ残った。

  • Andy Murray(GBR)[4] def. Kei Nishikori(JPN)[24] 6-3 6-3 6-1
残念。だけどまあ順当だし、個人的には、思ったよりも現時点での錦織のテニスがマレーに通じていたことが、ちょっと嬉しかった。

特にストローク戦は、普段通りのバックハンドクロス中心のラリーで、マレー相手でも少しは優勢に展開できていたのに驚いた。マレー相手ならば、あのバックハンドクロスラリーで押し負けるのではないかと思っていたが、通常モードのラリーならば錦織のバックハンドはマレーにも引けを取らないのか。

あと、ストローク戦での左右の振り回しに関しても、マレーが相手だったらもっとカウンター気味の逆襲を食らって不利になるのではないかと思っていたのだが、そんなこともなく普通に錦織が主導権を握った状態での振り回しができていた。

まあ、マレーの守備力が高いんで、錦織が主導権を握った状態でいくら振り回しても、なかなかポイントに結びつけることは難しかったのだが。

また、振り回すときに錦織の方も、マレーのカウンターが出にくいように、あまりショートクロスになりすぎないように気をつけていたように思う。アプローチからネットに付くときも、あまり角度をつけずにパスのコースを限定するようにでたり。

サーブに関しても、思ったよりもボディサーブと緩急が効いていて、後半慣れてきたらマレーにリターンでがんがんと叩かれるのではないかと思っていたんだけど、リターンで主導権を握られるシーンはそれほどなかった。もちろんもっとサーブがいいにこしたことはないけれども、あのくらいのサーブだったら全然OKだ。

リターンに関しては、マレーのファーストがあまり良くなかったから、ファーストのリターンがどのくらい通じるのかはよくわからなかったけど、セカンドのリターンに関しては結構いやらしく叩いていけていたし、十分プレッシャーをかけられていたと思う。

一番大きな違いだったのは、ブレイクポイントやゲームポイントのような大事なポイントをしっかり取りきる力。マレー相手に10回もブレイクポイントを握ることができたのに、結局2回しかブレイクできなかった。

その辺りは大事なポイントでレベルを上げる余力と、ポイントを取るための切り札的な戦術の有無が大きいんだろう。この部分に関しては、元々錦織は得意な方だから、実戦経験を積み重ねながらトップ4にも通じるようなポイント奪取能力を身につけて欲しい。それができればトップ4相手にもっと戦える。

マレーのできもテンションも、試合を通してマックスからはほど遠かったけど、錦織のできの方も疲れもあったしベストという感じではなかったので、今回の内容は今後のマレー、ひいてはトップ4との戦いに際して十分参考になるだろう。

今シーズンこれでスタートダッシュはできたので、あとは怪我に気をつけながら、しっかり現在のランキングの有利を活かしていけば、全米後のトップ10入りも夢じゃないはず。すげー期待してる。

  • Novak Djokovic(SRB)[1] def. David Ferrer(ESP)[5] 6-4 7-6(4) 6-1
結果だけ見るとジョコビッチの楽勝に見えるけれども、実際にはかなり問題がある内容だった。

まずファーストセットは、ジョコビッチはそれほどペースを上げずに、それでもフェレールよりは優位な展開を維持しながら、1ブレイクしてセットを取った。しかし、フェレールの粘り強いラリーに長々とつきあわされ、6-4の割にはほぼ1時間かかるセットになった。

そしてセカンドセット。途中でバックハンドサイドに大きく走らされたディフェンシブなショットの際に、左足太ももを痛める。結局メディカルを呼ぶこともなかったので、怪我の程度を推し量るのは難しいのだが、セカンドセットのほとんどの時間、足の怪我の影響を感じさせるような動きが多く、ミスも格段と増えた。

セカンドセットの最後の方には怪我の影響を感じさせることは少なくなりタイブレークを取りきったが、時々完調とは思えない動きをみせることがあったので、実際のところは完全に問題がなかったわけではないだろう。

セカンドセット中盤からサードセットにかけては、足への負担を軽減するためか、ウィナー狙いのショットの割合が増え、しかも徐々にショットの内容が良くなっていったため、一気にサードセットを取りきって勝ったのだが、その辺りも本来の作戦だったのか、怪我の影響を受けての作戦だったのかが気になる。

ヒューイット戦中盤に失速したときも、突然疲れが出たみたいなことを言っていたらしいが、ジョコビッチに関してはここに来てフィジカル的な不安が大きく顔をのぞかせ始めた。フィジカルが完調じゃなければ、マレー相手に勝ちきることも難しいのではないだろうか。

11日目注目の試合。

  • Kim Clijsters(BEL)[11] vs. Victoria Azarenka(BLR)[3]
  • Maria Sharapova(RUS)[4] vs. Petra Kvitova(CZE)[2]
  • Roger Federer(SUI)[3] vs. Rafael Nadal(ESP)[2]
女子は、ここからクライシュテルスとクビトバが残って決勝を戦うという予想なんだけど、シャラポワは相変わらず頑張ってるねー。面白みがなくて好きなプレイスタイルではないけど、あのひたすら愚直に強打で攻撃を続けるメンタルの強さは買う。でも今ならクビトバの方が上かなー。

そして、フェデラー vs. ナダル。今ならフェデラーが7:3で有利とみているんだけど、ナダルにはフェデラーがいやがるプレイをする能力があるから、実際にやってみないとどうなるかはわからない。ナダルのできもいいし、つまらない試合にはならないだろう。楽しみ。

Published At2012-01-25 21:23Updated At2012-01-25 21:23

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2012全豪オープン9日目Edit

  • Victoria Azarenka(BLR)[3] def. Agnieszka Radwanska(POL)[8] 6-7(0) 6-0 6-2
  • Kim Clijsters(BEL)[11] def. Caroline Wozniacki(DEN)[1] 6-3 7-6(4)

クライシュテルスとウォズニアッキの試合はちょっと見たけど、やっぱりリスクを取って攻めることができるクライシュテルスに対して、どうしても安全な範囲で攻めるのが癖になっているウォズニアッキは、GSのような大きな大会では弱いな。

ウォズニアッキも結構頑張って攻めてはいたんだけど、相手に先に攻められたときにクライシュテルスはぎりぎり追いついたような球に対しても、さらにある程度攻撃的に返すことが多いんだけど、ウォズニアッキはちょっと難しそうな球はリスクを取らずに安全に返してしまうことが多い。

さすがにディフェンス力が高いから、そういう球も相手のチャンスボールとまではならないんだけど、相手に攻撃の意思が強い場合は、そういう球を強引に叩いてきて、さらに相手のペースに持ち込まれてしまう。

ウォズニアッキも、追い詰められたセカンドセット後半は、そういう球を強引にカウンターを取ろうとしてらしくないミスをしたりしていたが、チャレンジするならスコア的な形勢が不利になってからじゃ遅い。やるならもっと早い段階でやっておかないと。

ということで、予想通り順当にウォズニアッキは消えたから、クライシュテルスのチャンスはだいぶ大きくなったな。もう片方の山がシャラポワ、クビトバが勝ち上がってきたら、それぞれの山がベテラン vs 若手の組み合わせと、相似形になるな。

  • Roger Federer(SUI)[3] def. Juan Martin Del Potro(ARG)[11] 6-4 6-3 6-2
デルポトロのできはそんなに悪くなかったと思う。スロースタートでファーストセットの出だしはぱっとしなかったけど、ファーストセット中盤からは全米でフェデラーを倒したときのような横殴りフォアクロスも打てていたし、そういうえぐい球を打っていてもそれほどミスが出ていなかった。

ただ、やっぱりこの大会のフェデラーは全盛期を彷彿させるできだ。できの悪くないデルポトロ相手にあっさりストレート勝ち。

  • Rafael Nadal(ESP)[2] def. Tomas Berdych(CZE)[7] 6-7(5) 7-6(6) 6-4 6-3
ベルディヒは、セカンドセットを取り切れなかったのがすべてか。今日のあのできだったら、ハードコートでナダルを倒すことは難しくなかったと思う。ショットのできも良かったし、攻撃するメンタルも良かった。中盤まではベルディヒが主導権を握る展開を作れていたと思う。

ただ、ナダルが不利な展開からも集中力を切らさず、持ち前の粘りとカウンターショットを活かして、何とかセカンドセットを取った辺りから、ナダルのメンタルとフィジカルの強さが、ベルディヒの持つ高い攻撃力という有利さを徐々に覆していった。ベルディヒが勝つにはあのセカンドセットは落としちゃいけないよ。まあ、あのセカンドセットを取り返したナダルがすごいんだけど。

さらに最後の方では、ハードコート仕様の攻撃型ナダルになり、ベルディヒがいいプレイをしていても上回れないところまで、レベルを引き上げていた。ベルディヒもミスは出ていたけど、最後までいい攻撃をみせてはいたんだけど、ロングマッチ後半のナダル相手に、ああいう攻撃的プレイで上回るのは難しいな。

さてこれでSFでナダルとフェデラーがぶつかる。もしかしてGSのSFでこの二人がぶつかるのは初めてか? と思ったら2005年の全仏でもあったか。

去年終盤のナダルとフェデラーだったら、このコートならばフェデラーが圧勝していそうだったけど、この大会のナダルはハードコート向けの調整がかなりできていているから、フェデラーにも対抗できそう。

昔ながらの、フェデラーのバックをヘビースピン中心で攻めつつ、フェデラーに無理な回り込みをさせて、それに対するカウンターショットを狙って行くのか。フェデラーは、去年終盤には成功していた、ナダルに対してもバックハンド攻めをやり返し、ナダルの優位な状況を作らせないようにしてから、フォアハンドによる攻撃で展開していくのか。あるいは二人ともそれ以外の戦術選択肢を用意してくるのか。

このコートならばどちらかというとフェデラー有利だとは思うけれども、ナダル陣営が去年やられた経験から、何らかの対抗策を用意してきている可能性もあるし、試合が始まってみないとどうなるかわからないなー。とてもたのすみだ((c)爆笑問題太田)。

  • Roberta Vinci(ITA) /Daniele Bracciali(ITA) def. Kimiko Date-Krumm(JPN) /Kei Nishikori(JPN) 6-3 7-6(6)
伊達錦織のミックスダブルスは2回戦負け。1回戦よりも相手がだいぶ強かったし、伊達錦織ペアはもったいないミスが多かったし、セカンドセットは競って落としたんで試合内容的に惜しかったし、錦織の体力的にももったいなかった。が、まあもう終わったこととして忘れよう。

10日目の注目試合。

  • Andy Murray(GBR)[4] vs. Kei Nishikori(JPN)[24]
  • Novak Djokovic(SRB)[1] vs. David Ferrer(ESP)[5]
マレーと錦織戦の展望などに関しては昨日ぐだぐだ書いたんで省略。一方的な展開にならないことを祈るのみ。

ジョコビッチ vs フェレールは、ヒューイット戦がなければジョコビッチの圧勝だと思っていたんだけど、ヒューイット戦の途中で自滅気味にミスを重ねてセットを取られた姿を見ていると、ジョコビッチもそれほど盤石じゃなさそう。

攻撃力の低いヒューイット相手に攻めあぐねて自滅するという展開は、フェレール相手にも同じことが起こりうる。フェレールの方がヒューイットよりも攻撃力も守備力も体力も上回っているし。

ここでフェレールが勝ち上がっても、SF以降のおもしろみが薄れそうだから、ジョコビッチに盤石に勝ち上がって欲しいんだけど、どうなんだろうなー。

Published At2012-01-24 23:24Updated At2012-01-24 23:24

テニス観戦記
2012全豪オープン8日目Edit

  • Kei Nishikori(JPN)[24] def. Jo-Wilfried Tsonga(FRA)[6] 2-6 6-2 6-1 3-6 6-3

勝っちゃったよ。すごいね。

錦織もツォンガも悪くない立ち上がりで、それでもツォンガがファーストセットをダブルブレイクで取っちゃったから、ちょっといやな感じがしたんだけど、セカンドセットから基本的に錦織が主導権を握ることが多い展開。

やっぱりバックハンドストローク力の差が大きいと、ラリーからの展開がだいぶ有利になるね。あと、ツォンガのかなりいいサーブにも錦織がきちんと反応して取れていたのが良かった。昔ナダルのアドサイドワイドスライスを全然返せなかった頃と比べると、ものすごくレシーブ力が上がっているんだなー。ツォンガのセンターフラットを、ぎりぎり手を伸ばした状態でしっかり深くまで押し返したりしていたし。

第4セットもそのままいけるかと思ったけれども、セット終盤にツォンガがスーパーツォンガに変身してしまい、確率の悪い攻撃を50%以上の確率で決めてきたせいで、2セットオールに追いつかれてしまう。

しかし、スーパーツォンガのだしどころが早すぎた。ファイナルセットで通常モードに戻ってしまったツォンガに対して、錦織は今まで通り安定した戦いで先にブレイク。こういう風に、ベースのストローク戦で押し勝っているときは、錦織特有のトリッキーなコース変更とかがよく決まる。

しかも1ブレイクした後は、相手のサーブゲームは戦わずして捨て、自分のサービスゲームキープに集中するという、まるでフェデラーのような横綱相撲で勝ちきった。実際のところ、そんなに自分のサービスゲームを信用して大丈夫かよ、とか思いながら見ていたんだけど、正直すまんかった。

さてこれで次は、

  • Andy Murray(GBR)[4] def. Mikhail Kukushkin(KAZ) 6-1 6-1 1-0 Ret.
と、相手のリタイアで楽に勝ち上がってきたマレーとQFを戦うことになる。まあ相手がリタイアしなかったとしても、マレーの疲労度はそれほど変わらなかっただろうけど。

錦織とマレーの現状での戦力差は圧倒的で、とても勝てる気がしない。錦織にできることはたいていマレーにもできるし、錦織にはとうていできないこともマレーはいろいろやれる。けれども、そういってあきらめてしまうのもいやなんで、現状の錦織がマレーに対抗できる戦術はないだろうかと、本気で考えてみることにする。

まず錦織のサーブゲームについて。ファーストは威力よりはコースと確率重視でいった方がいいだろう。錦織特有のバリエーションの多い球種・コース・速度のサーブを、徹底して使っていった方がいい。錦織のサーブ力で真っ当なサーブを打っていったら、マレーが慣れてきたらものすごいリターンをされてしまいそうだ。

あと、バックハンドにはねるサーブは厳禁。マレーにとってバックハンドにはねるサーブは大好物だ。逆にスライス系の跳ねない滑るサーブの方が叩かれなくていいかも。その場合はリターンで角度をつけにくいコースを中心に散らしていく。深くて跳ねない確率のいいファーストサーブが欲しいね。

リターンゲームに関しては、マレーのファーストサーブが入っているときはあきらめるしかない。できるだけ頑張って返すしかないけれども、いいサーブが入ってきているときには基本的にはどうしようもない。

ただ、セカンドサーブに関しては、最近だいぶ良くなってきてはいるけれども、やはりファーストサーブに比べれば格段に落ちるんで、セカンドサーブをミスしない範囲でできるだけ嫌らしく返して、ファーストサーブのプレッシャーに変えていきたい。速度や威力よりも深さ重視のリターンがいいかな。

ストローク戦に関しては、普通に打ち合っている分には錦織もマレーに見劣りはしないはず。ただし、普通に打ち合っていてもマレーが相手だと主導権を握ることは難しい。かといって、中途半端な仕掛けはマレーのカウンターの餌食になるんで、中途半端な仕掛けになりそうだったら、ひたすら深くに球を返すことに集中した方がよさそう。

じゃあ、どうやって攻撃したらいいのかというと、あまりにも選択肢が思いつかない。コースで振り回したり、浅い球で前に出したりしたところで、マレーはカウンターショットもネットプレイもドロップ返しもうまいから、どうやっても錦織が上回れる気がしない。バックハンドの差し合いも、スピンもスライスもマレーは錦織と同レベルかもっと上だろう。

あまり分がよくはないだろうが、試してみたい戦術としては、あまり角度をつけないダウンザミドル中心の深いストロークを続けておいて、できればマレーに先に仕掛けさせ、そのカウンターを狙っていく戦術。その際にはマレーのフォアハンドから仕掛けさせたい。

あるいは、あまり角度をつけないフォアハンドのクロスの打ち合いを続ける中で、強打だけでなく球種や球の深さをいろいろ変えていき、その中でマレーに先にフォアハンドで仕掛けさせる。

どちらにしろ、マレーの調子が良ければ、鬼のようなフォアハンドで叩かれ、何とか返してもネットプレイで終了って感じになってしまいそうだけど、マレーがフォアハンドからの仕掛けのミスを連発していらだってくれれば、マレーのメンタルの悪化に遭わせてプレーレベルが落ちてくれるはず。

そうなると連鎖して最初にサーブのできが悪くなるはずだから、次はセカンドサーブをより積極的に攻撃していく。するとファーストサーブの確率がさらに落ちていくはず。

といった感じで、マレーに先にフォアハンドでしかけさせ、何とかマレーのミスがかさむ展開に持って行き、マレーの精神状態を悪化させる。それによって、マレーのサーブ力を引き下げさせ、レベルが落ちてきたサーブを狙って、その穴を広げていく。

というのが思いつく範囲では一番確率が高そうかなー。うまくいくかどうかはマレーのでき次第だし、うまくいったところでそれほど勝ち目が大きい戦い方ではないけれども、現有戦力でマレー相手に戦うとなると、マレーのわずかな欠点をなんとか強調させて一点突破していくしかなさそうに思う。

もちろん錦織がスーパー錦織になって、ものすごい強打をコースにばしばし決めて、しかもミスをせず、マレーのディフェンス力を上回る攻撃を最後まで続けて勝ちきる、なんて可能性もゼロではないけれども、そんなのは戦術でもなんでもないしな。

  • Novak Djokovic(SRB)[1] def. Lleyton Hewitt(AUS) 6-1 6-3 4-6 6-3
昨日の予想通り、ヒューイットのガッツが圧勝街道を進んでいたジョコビッチに1セットダウンという土をつけさせた。が、ヒューイットのガッツもそこまでだった。やはり普通のストロークの打ち合いをしているだけで優位が取れるジョコビッチに勝つのは難しい。でも、まだまだヒューイットもやれるね、ということが確認できた試合だった。
  • David Ferrer(ESP)[5] def. Richard Gasquet(FRA)[17] 6-4 6-4 6-1
ティプサレビッチに圧勝していたし、この大会のガスケはよほどいいガスケなのかと思っていたのに、実際に見てみたらあまり良くないガスケだった。フェレールは良かったけど、でもフェレールはいつもあの程度はいいできだから、それと比べるとガスケはぱっとしなかった。

あまり意識していなかったけど、もしかしてガスケってフェレールみたいなタイプは苦手なのかな。バックハンドの自由度が武器のガスケに対して、フェレールはバックハンドのショートクロスで振り回されても苦にしないし、粘り強くそこそこいい球を返し続けてくるからなー。

と思ってHEAD to HEADを見てみたら、フェレールの5勝1敗という成績だった。やっぱりガスケはフェレールが苦手なのね。

  • Andrea Hlavackova(CZE)[7] /Lucie Hradecka(CZE)[7] def. Rika Fujiwara(JPN) /Ayumi Morita(JPN)6-3 3-6 6-2
藤原森田のダブルスは残念ながら2回戦敗退。途中変わった誤審騒動があって面白かった。草トーでもあるまいし、あんなレベルの誤審があるもんなんだね。
  • Ekaterina Makarova(RUS) def. Serena Williams(USA)[12]6-2 6-3
  • Maria Sharapova(RUS)[4] def. Sabine Lisicki(GER)[14] 3-6 6-2 6-3
セレナがこんなところでこんな相手に負けてしまった。体調がいまいちだったのか、それとも本当に力が落ちたのか。

かなり苦戦していたようだったけど、シャラポワがベスト8まで残った。全盛期と比べるとサーブ力がものすごく落ちてしまっているんで、ネームバリューの割にはぱっとしない選手になってしまっているけれども、それでもそこそこ勝ち残れるのは、今の女子テニス界の層の薄さか。

俺の予想ではクビトバ本命、(ズボナレワは負けちゃったんで)クライシュテルス対抗だったんだけど、クビトバも今大会はそれほど絶対的な強さをみせているわけではないし、シャラポワもそこに割っては入れるかもなー。ウォズニアッキは、QFでクライシュテルスと当たってしまうという不運。本当に女子のドローはぐちゃぐちゃだ。

9日目の注目カードは以下。

  • Victoria Azarenka(BLR)[3] vs. Agnieszka Radwanska(POL)[8]
  • Caroline Wozniacki(DEN)[1] vs. Kim Clijsters(BEL)[11]
  • Juan Martin Del Potro(ARG)[11] vs. Roger Federer(SUI)[3]
  • Tomas Berdych(CZE)[7] vs. Rafael Nadal(ESP)[2]
  • Roberta Vinci(ITA) /Daniele Bracciali(ITA) vs. Kimiko Date-Krumm(JPN) /Kei Nishikori(JPN)
さすがにここまでくるとシングルスは女子も男子も注目カードだけか。女子は対戦自体が注目というよりは、飛び抜けた実力の主がいないから、この中の誰が勝ち残るかわからないという意味で注目。

デルポトロとフェデラーがぶつかる。フェデラーは去年の後半からの好調を持続している状態。デルポトロは怪我空けで大きく落とした順位を徐々に戻しつつある最中。去年の年末一度は失速した感があったが、GSではしっかり調子を取り戻してきた模様。

最近の調子だけを見ればフェデラーの勝ちだが、デルポトロにはGSでフェデラー相手に爆発した実績があるし、あのモードに入ったデルポトロは誰にも止められないだろう。この対決の結果は、デルポトロのでき次第か。

悪役ベルディヒとナダルの対決。あれだけブーイングを浴びたベルディヒのメンタルはどうなんだろうなー。開き直って調子を維持していると面白い戦いになりそうなんだけど。ナダルは、さすがにこのクラスの攻撃力がある相手だとハードコートでは楽勝というわけにはいかないだろう。ただ、この大会のナダルはハードコートでも強いモードにしっかり調整できているみたいだから、ベルディヒが好調だったとしてもそれだから負けるということもないだろう。ベルディヒが好調で面白い試合になるといいな。

伊達と錦織のミックスダブルスに関しては、まああまり長引かずにすかっと終わって、どうせなら勝てるといいね。

Published At2012-01-24 00:14Updated At2012-01-24 00:14

テニス観戦記
2012全豪オープン7日目Edit

  • Kim Clijsters(BEL)[11] def. Na Li(CHN)[5] 4-6 7-6(6) 6-4

予想通り、決勝でもいいくらいの内容だった。リーナは勝利をほぼ手中にしつつも、クライシュテルスの粘りで勝ちきれず、その後は集中力を失ってしまったように見えた。

それにしてもリーナの旦那コーチの試合中のコーチングは目に余るな。

  • Roger Federer(SUI)[3] def. Bernard Tomic(AUS) 6-4 6-2 6-2
トミックのディフェンス力がフェデラーの早い攻撃に通じるかどうか=錦織よりもトミックの方が現時点での対トップ4での能力は上かどうかを測る試金石だったんだけど、やはり錦織同様にフェデラーの圧倒的な攻撃力の前にはトミックのディフェンスは砕け散ってしまった。トミックは対トップ4の能力は錦織と同程度かな。さすがトップ4の壁は分厚い。

さすがのふてぶてしいトミックも、あそこまで見事なフェデラーショーの前では闘争心をかき立てるというよりも、あまりに見事なプレイに敵ながらあきれてしまう感じだったか。

フェデラーはここまでいつものフェデラーらしい完璧なGS第1週を過ごしてきた。これは準決勝でのフェデラー vs. ナダル戦のクオリティは高くなりそうだ。といいつつも、ナダルが本当に準決勝まで残れるのかについては、まだ不安があるのだが。

  • Caroline Wozniacki(DEN)[1] def. Jelena Jankovic(SRB)[13] 6-0 7-5
もっといい勝負になるかと思っていたら、ファーストセットがベーグルとは。どういう試合内容だったんだ?
  • Tomas Berdych(CZE)[7] def. Nicolas Almagro(ESP)[10] 4-6 7-6(5) 7-6(3) 7-6(2)
強いのにぱっとしないベルディヒが、今後ヒールとして華々しく生きていくことに決めた試合。

次のナダル戦も完全な嫌われ役としてブーイングを浴びることになるだろうけど、それで心が折れてナダルに完敗するようじゃただのアホだ。嫌われながらも実力を発揮すれば、ハードコートならばナダルとも互角以上の戦いができるはず。っつーか、こんなことをやったんならそれくらいやれよ。

  • Kimiko Date-Krumm(JPN) /Kei Nishikori(JPN) def. Gisela Dulko(ARG) /Eduardo Schwank(ARG)6-4 6-1
錦織と伊達のミックスダブルスは、なぜかあっさり勝ってしまった。このくらい楽に勝てるならば、シングルスに掛かる負担も最低限で済ませられるか。ただ、このミックスダブルスのドロー、錦織達の次の相手になるはずだったナンバー1シードが1コケしてしまい、実質ナンバー1シードのポジションに入ってしまったことになる。もしかしたらいいところまで勝ち進んでしまうかも。

8日目の注目試合は以下。

  • Novak Djokovic(SRB)[1] vs. Lleyton Hewitt(AUS)
  • Kei Nishikori(JPN)[24] vs. Jo-Wilfried Tsonga(FRA)[6]
  • Richard Gasquet(FRA)[17] vs. David Ferrer(ESP)[5]
  • Rika Fujiwara(JPN) /Ayumi Morita(JPN) vs. Andrea Hlavackova(CZE)[7] /Lucie Hradecka(CZE)[7]
ジョコビッチとヒューイットの戦いは、おそらく一方的な内容になるだろうけれども、それを覆すようなガッツがヒューイットにあるかもしれない、というわずかな期待にかけて。

錦織とツォンガの試合は、錦織の調子さえそこそこならば、たとえ調子がいいツォンガ相手でも一方的な試合展開にはならないはず。逆にツォンガは錦織に連敗していて、ものすごくいやな印象は持っているはずだから、競る展開になるとツォンガの方にプレッシャーがかかる。

サーブ力は圧倒的にツォンガが上。バックハンドは錦織がだいぶ上。フォアハンドはそれほど変わらず。ネットプレイはツォンガが上。フットワークは錦織が上。現時点での体力はおそらくツォンガが上。ショートポイントが多くなればツォンガ優勢、ロングラリーからの展開なら錦織が優勢か。ただし試合が長引くと錦織には体力切れの危険性が出てくる。状況は錦織の方が少し不利かな。まずはツォンガのサーブをどれだけ安定して深く返せるかが勝負のポイントになりそう。

好調ガスケとフェレールの戦いは拮抗しそうだ。フルセットマッチになってもおかしくないが、ここでフルセットをやらかしてしまうと、勝ち抜けた方も次の試合に響くだろうな。

藤原森田ペアのダブルスも3回戦に。ここを勝ち抜けるとダブルスランキング的にもだいぶ変わってくる。どうせならもう一声いってほしい。

Published At2012-01-23 09:29Updated At2012-01-23 09:29