日記
プロバイダに責任を代行させるのはどうだろう (13:51)Edit

2004/2/1

悪徳商法?マニアックスhttp://www6.big.or.jp/~beyond/akutoku/)が株式会社ウェディングの記事(http://www6.big.or.jp/~beyond/akutoku/topic/wedding.html)がらみでGoogleのインデックスから削除された件(http://www6.big.or.jp/~beyond/akutoku/topic/index.html#0106)や、はてなダイアリーで株式会社ウェディング関連のキーワードや日記が削除された件(http://d.hatena.ne.jp/koseki/20040201#1075628304http://d.hatena.ne.jp/toronei/20040201#p5)。

なんか論調として、Googleへの批判とか、悪徳商法?マニアックスのホスティングをしているところ(が出て行くか個人情報を渡すかの二択を迫ったこと)への批判とか、(協議会とかを開かずに削除を行った)はてなに対する批判とかが大きいように感じるんだけど、それは違うんじゃないか。

まず大前提として、自分の言論の責任は自分でとるのが基本なんだから、プロバイダを隠れ蓑にして自分の言論の責任の代行をさせるのはやめようよ。特に問題がない状況で、プロバイダに匿名性を確保してもらうのはかまわないけれども、何らかのリアルなトラブルが発生した場合にまで、その言論の責任代行(の一端)をプロバイダに押しつけるってのは、プロバイダの業務の範囲外だろう。

プロバイダが自分の言論の責任代行をしてくれないと文句を言わずに、クレームをつけてきた相手が直接自分にコンタクトができるように、情報を公開したらどうだろう。じゃなかったら、中途半端な言論の主体を振りかざさずに、日本のネットにおける著名なクレーム代行請負者のところ(2ch@ひろゆき)あたりで、匿名性の陰に隠れていた方がいいと思う。

まあ実名で批判したとしても、プロバイダに圧力をかけてくるようなクレーム者は存在するだろうけどね。弱くて効果が大きいところを攻めるってことで。

2004/2/2

>>僕の記事に限って言えば、今回のはてなの対応に問題があるとは思っていないですし、第一匿名でもありません。(一部誤解を招く表現を削除しました)事実関係をはっきりさせることで事態を改善する必要があるのではないですかと、穏当な意見を申し上げています。

確かにkosekiさんに関しては、「匿名で」という部分は正しくありませんでした。十把一絡げに扱ってすみません。ただ、

  1. もともとこの手の問題になりそうな話題をはてなダイアリーという場で行い、結果としてクレームがプロバイダ(はてな)に行ってしまった(kosekiさん個人へアクセスするよりもはてなにアクセスする方が簡単である状態になっていた=匿名者の批判と同じことになってしまった)こと
  2. 自分の言論に対するクレームが付いた場合に、その仲介をしたプロバイダを追求するよりも先にやることがある(株式会社ウェディングを批判することがメインなのならば、はてなダイアリー以外の(より直接自分で責任がとれる)場に移動して、話を続ければいいのでは)ように私には思えるのに、追求の矛先がはてなの方に向いてしまっていること(これは「kosekiさん自身が」というよりも、「それをきっかけとした多くの人の反応が」という要素が大きいです)

というあたり(特に後者)に関しては、やはり当初の私の文章の対象となると思います。

要は、「はてなの対応」を批判(追求)したいのか、それとも「株式会社ウェディングの問題点」を追求したいのか、いう話です。そして前者(はてなの対応批判)に関しては、それは私には「筋違いの批判(自分の言論の責任代行をプロバイダに押しつけている)」ように見えるのです。

(追記)2/1ぶんと2/2ぶんの文章の間には、#726〜736のコメントでのやりとりが(暗黙の話の流れとして)挟まっていますので、そちらも読まないと、読解しにくいかもしれません。

2004/2/2 その2

>>はてなとかさるさる日記だからというわけではなく、レンタルサーバーでもおこってることだし、逆質問ですが、プロバイダーに責任は代行させるべきではない、ホームページやWeb日記、Weblogなどで責任ある発言をしたい人は、ホームサーバーぐらい立ててそこでやれということなのでしょうか?

思いつく方法としては、

  1. 犯罪・訴える系のクレームをつけられないような(プロバイダがその手のクレームを受けても自らの判断で却下できるくらいの)表現方法を考える
  2. サービスプロバイダなどにクレームが行かないように、現実でのクレームの宛先を明記しておく
  3. 責任をとらなくてすむ別の手段を考える(匿名告発手段としては、2chとかスラドみたいなシステムを使う方法がありますし、日本の法律の及ばない国のサーバーを使って身元を隠した告発を行うという方法もあるでしょう)

あたりでしょうか。

というか、「ホームページやWeb日記、Weblogなどで責任ある発言をしたい人」という場合の「責任」とは何をさしているんでしょう?

「すべての個人情報を相手に渡してもかまいません。直接私がクレームへの対応をします。ですから、私の文章は削除しないでください」でしょうか? それとも「記名で文章を書いて公開します。しかしクレームがきた場合はプロバイダが仲介して、決して私の個人情報はあかさないでください」でしょうか?

相手がやばい系だった場合など、自分の身元を明らかにするリスクが高すぎることもあるでしょうから、その場合は3番目の「責任を回避して発言する」手段を模索するのもいいでしょう。ただ、「文責は持ちたい(記名で批判したい)」けれども、「現実的なクレームの矢面には立ちたくない(プロバイダに代行させたい)」というのは、「責任ある発言」ではないと思います。

ポイントをまとめると、「“言論の自由”を守るためのコストをサービスプロバイダに押しつけるのはおかしい。第一にまず発言者自らが最大のコストを支払うべきなのではないか」といった感じです。

2004/2/3

>>プロバイダ側でユーザの(まともな)発言をサポートするサービスがあってもいいんじゃないかな

確かに、そういうサービスができるといいですね。逆に言うと、そういうポリシーを明確にしているところ以外では、基本的にユーザーは自己責任の範囲で行動するべきだとも思います。あとたぶん私の言う「自己責任」はkosekiさんが考えている「自己責任」よりもずいぶんと重い。はっきり言うと「訴えられる覚悟をする」ってことです。

>>ishinaoさんの回答は少し腰が引けていますが、私は「そうです」と申し上げたい。極論でも何でもない。自分でサーバを用意していないのだから、結局はサーバ屋がダメといったらダメなのは当たり前です。

別に腰が引けているわけではなく、せっかく下がった技術的な敷居まであげることを是としたくないので、「自分でサーバーを立てろ」とはしなかったのです。

ところでこのような問題の背景にあるのは「ホームページ/blogで気軽に情報発信」的なコピーの「気軽」の意味の取り違えがあるのではないか、という気もしてきました。ここでいう「気軽」は、あくまでも「技術的・経済的コストがかからない」という意味での「気軽」であるはずなのに、「発言の内容を気にしなくていい、責任をとらなくていい」という意味での「気軽」だと認識している人が多いのではないか。あるいは2ch的な特殊な場に慣れすぎてしまい、あれがネットでの標準だと思ってしまっているのか。

私の文章は、はてなに限らずネットにおける風潮一般に対する批判なのですが、はてなに限定して言えば、ここの文章が一番私の言いたいことをわかりやすく表現してくれていると思います。

やばい発言をする場合には、本来どのくらいのリスクがかかるのか、それを受け止めることにはどれくらいのコストがかかるのか。そしてそのコストを誰が受け止めるのか。という話として。

2004/2/4 自分なりの総括

今回の件は、私にとって複数の問題が内包されていました。

  1. 悪徳商法?マニアックスがクレーム対処に関して、プロバイダの対応を非難していたこと。
  2. はてなダイアリーでキーワードやkosekiさんの日記などにクレームがつき、削除されたこと。その件について、はてなダイアリーの「削除」という対応に関する追求が多かった(説明責任という論調が多かったが)こと。
  3. その後も問題のクレームの対象になりそうな文章をはてなダイアリーに掲載する人が見受けられたこと。そのような再クレームを誘発するようなことを行いつつも、そのクレームを自ら引き受けるという人が見受けられなかったこと。
  4. 最近ネット上の発言があまりにも無責任方面に向かい過ぎているのではないか。またその責任は結局、顧客情報を守るという立場のプロバイダがかぶらされているのではないか。と以前から考えていたこと。

で、結局4という観点から、「発言の責任は自分で取れ。プロバイダに肩代わりさせるな」という問題を提起した訳ですが、この問題提起を元に1〜3の各項目を批判したのはあまりにも乱暴でした。結論をベースに各項目を批判してしまったため、結果として想像・創作の要素があまりに大きすぎる批判になってしまいました。

特に、今回のはてなダイアリーにおけるkosekiさんの件に重ね合わせ、kosekiさんを批判したのはやり過ぎだったと思います。結論ありきで批判してしまいましたが、色眼鏡を取り払って見ると、結果として似たような状態になったものに対して、結果論で批判しているという面は否めません。ですから、ここの記事・コメントにおいて私が書いた文章には、kosekiさんを不当に批判している点が含まれていることを認めます。kosekiさん、申し訳ありませんでした。

ただ、私の考え方は基本的に変わっていません。いくらネット上でも、いくつかの特殊な場を除いては、基本的に発言者が自分の発言の責任を取るべきだし、自分の発言に対するクレーム対処に、単に場を提供しているだけの(編集・公開の可否を判断するなどの、文責の一端を担う行為を行っていない=ここが一般の出版社と著者の関係とは大きく異なる)プロバイダの手を患わせるのは極力避けるべきだと思います。なにしろ根本の問題は、自分の発言にあるわけですから。

しかし、プロバイダの責任(あるいは義務)というのもある程度あるわけですし、誰がどの程度のコストを負担して事態に対応するべきかは、ケースバイケースでしょう。また、プロバイダへの負担を考慮して「危険そうな文章ははじめから掲載するな」的な主張は、自由な言論を抑制するというデメリットも大きすぎるため撤回します。

私の考え方は、プロバイダ擁護に偏っていますが、誰でも基本的に自分の身はかわいいものなので、プロバイダ擁護に偏ったくらいの考え方をしてようやく、コスト負担が妥当なバランスになるのではないかという気がします。

はてなダイアリーでは、この手の問題に対応するためのガイドラインを作成する(http://d.hatena.ne.jp/keyword/%a4%cf%a4%c6%a4%ca%a5%b3%a5%f3%a5%c6%a5%f3%a5%c4%ba%ef%bd%fc%a5%ac%a5%a4%a5%c9%a5%e9%a5%a4%a5%f3)という方向に向かっているみたいですし、個人的には公開の場で現実にもまれながら作成されるガイドラインの有効性・妥当性というものに期待します。一般プロバイダが用意している、おそらくは弁護士が作成したのであろう規約が、どの程度妥当なのかは疑問だったので。

2004/2/6

今回の件のまとめとして、kosekiさんが関連する10の質問を公開しています。今回の件に限らず、一般論としても回答できるものなので、興味のある方は是非回答してみてください。特に11。

Published At2004-02-01 00:00Updated At2004-02-01 00:00