テニス観戦記
2012全豪オープン11日目Edit

  • Victoria Azarenka(BLR)[3] def. Kim Clijsters(BEL)[11] 6-4 1-6 6-3

ファイナルセット、アザレンカ優勢の展開ながらもクライシュテルスが怒濤の追い上げモードに入り、非常に厳しい攻撃を仕掛けてきたのに対して、しっかり攻撃を仕返して勝ちきったアザレンカ。GSを取るための試練を受けて、それを見事に乗り越えたように見えた。

GS準決勝という場ではあったが、このプレッシャーを乗り越えられたのならば、アザレンカはGS決勝でのプレッシャーも乗り越えられるのではないか、と感じられた。

  • Maria Sharapova(RUS)[4] def. Petra Kvitova(CZE)[2] 6-2 3-6 6-4
逆に、クビトバはシャラポワの攻撃に対して、最後技術やフィジカル的ではなく、メンタル的に押されてしまっているように見えた。すでにGSを取った経験があるクビトバなのに。一方のシャラポワはさすが。メンタルはやはりすばらしい。

女子シングルスSFの結果は、どちらの試合も予想とは逆になってしまった。決勝の予想としては、クライシュテルスの洗礼を乗り越えたアザレンカが、シャラポワの単調な強打を跳ね返して勝つのではないかと思っているのだけれども、全然予想が当たる気がしないなー。

GS決勝のプレッシャーはまた別物で、アザレンカが最後にへたれて負けちゃうのかも。

  • Rafael Nadal(ESP)[2] def. Roger Federer(SUI)[3] 6-7(5) 6-2 7-6(5) 6-4
そして、こちらの結果も私の予想とは逆だった。まだ私はフェデラーが強かった頃の幻想を信じすぎているのかなー。でもファーストセットのできを見たら、やっぱりハードコートではフェデラーの方が上のように思えるのだが。

ファーストセットのフェデラーのできはすばらしかった。ナダルはまだエンジン全開という感じではなかったが、それでもフェデラーのミスは少なく攻撃は厳しく、ナダルのディフェンスを上回る早い攻撃を仕掛けてポイントをどんどん取っていった。

しかし、ナダルが徐々に調子を上げていき、スーパーディフェンスやスーパーカウンターが顔をのぞかせ始めると、フェデラーのミスが増え始めた。

普通に決めにいったのではナダルに拾われてしまう。カウンター攻撃を受けてしまう。

そういうプレッシャーにより、狙い球がより厳しい方にずれ、ドロップショットは後一歩でネットを超えず、オープンスペースを狙った鋭いストロークは低く狙いすぎてコードに阻まれた。

それでもサーブの強さを活かし、セカンドセット以外は競った展開を作り出したが、ナダルの安定した強さを乗り越えることはできなかった。

ナダルは安定して強い球をしっかりと返し続け、振り回されても振り回されてもディフェンスし、フェデラーのウィナーにしか見えない攻撃に対してスーパーカウンターを狙っていった。フェデラーはすばらしい攻撃もみせるが、どうしてもミスを減らすことができなかった。

ファイナルセットの終盤、ナダルのマッチポイントをしのいだフェデラーのプレーは、さすがフェデラーという内容だったが、なぜあのプレーがあそこまで追い詰められる前にできなかったんだろう。その辺りがやはり年齢による影響なんだろうか。あのプレーがもっと早い大事な局面で出せていれば、試合結果も変わっただろうに。

一方ナダルはフェデラーの逆襲に遭っても動じず、しっかし跳ね返してみせたのは、フェデラーよりも大事なポイントでギアを上げて結果を出す能力が高いということか。

12日目の注目試合。

  • Novak Djokovic(SRB)[1] vs. Andy Murray(GBR)[4]
ナダルの相手はどちらになるのか。

ジョコビッチには、ヒューイット戦途中でみせた謎の疲労による失速と、フェレール戦で起こった左足太ももの怪我の影響という、二つのフィジカル的な問題がある。一見どちらも大きな問題ではなさそうに見えるが、それはジョコビッチが今後のことを考えて、できるだけ問題が小さく見えるように振る舞っているだけかもしれない。

一方のマレーは、体調的には盤石だろう。ここまでフィジカル的な問題はほぼ出ていないし、楽な勝ち上がりを続けてきているので、体力にはまだ余裕があるはずだ。錦織戦の内容は、マレーにしてはいまいちだったが、対ジョコビッチということでしっかりテンションを上げて試合に臨んでくるだろう。

ただ、ここまでマレーはあまり自分から攻撃するプレイをしてきておらず、ジョコビッチ戦ではそれでは勝てないので、自分から攻撃する展開を使ってくるはずだが、そこで安定したプレイができるだろうか。

去年の楽天ジャパンオープン決勝のナダル戦のように、しっかり自分から攻撃してポイントを取っていくプレイが最後までできれば、GSという舞台でも、相手がジョコビッチだろうがナダルだろうが勝ちきれる能力はある。

しかし、攻撃がうまくいかず、メンタルが不安定になり、ファーストサーブの入りが悪くなったら、ジョコビッチに勝てる気がしない。

現時点のコンディションだけを見たらマレーが優勢。しかし実績などを加味すると、ジョコビッチが優勢といった感じか。さあどうなる?

Published At2012-01-27 02:56Updated At2012-01-27 02:56