日記
個人Webサイト系コミュニケーションに関する展望 (20:18)Edit

に対するレスポンスを書こうと思ったのですが、このあたりに関しては、具体的な話よりも私の持つそのあたりの思想を語った方が早そうな気がしたんで、個人Webサイト系コミュニケーション一般に関してまず書いてみます。

初期の日本の個人WebサイトWeb日記テキストサイトニュースサイト)系コミュニケーションは、コミュニティ内輪で閉じた形のものが多く、それ以外とのコミュニケーション(コミュニティ以外からのリンク)に対しては抵抗感を持つ人が多かったという印象があります。

最近ではそういう閉鎖的な印象はずいぶん減ってきたように思いますが、それでもまだ内輪以外からのリンクを、何か特別なもののように扱う人は珍しくありません。Webサイト自体は開かれている(誰でも同じように見ることができる)のに、そこでのコミュニケーションがやけに閉じられているという現状に、私は不満があります。

どうして不満があるのかというと、「ソフト開発者、ハーバード大学に「ブロッグ活用法」を指南 from ZDNet」で書いたような「公開された場(Web)での複数の個人活動が集まった結果として、そこに個人ではできなかった何かが生まれる」可能性が面白いと思うから。というのが、パブリックな(建前的な)理由かな。「text/plainじゃなくてtext/htmlを使うならば、その仕様をきっちり使い切れよ(じゃなきゃrtfでも使ってろ)」という技術者(マニア?)的な嗜好の方が実は大きいのかも。まあ「俺はそれが好きだから」というジャイアニズムでも構いません。理由なんてどうでもいい。

で、そういう状況を変えるために、個人Webサイト同士がリンクしあう状況をもっと加速してしまいたい。そして、Webサイト内で閉じている状態、あるいは狭いコミュニティ内のリンクのみで閉じている状態を、Webサイト全体がリンクでつながっていくような状態に変えてしまいたい。

そういう状況に持っていくための方法として、まずサイト同士の言及リンクを図式化してわかりやすくする更新報告型リンク集(http://ishinao.net/diary/?200201c&to=200201281#200201281)みたいなものをイメージしました。ですがこの方向は宣伝広告にコストがかかりすぎるし、しょせん新しい内輪(コミュニティ)を作るレベルで終わってしまう可能性が高いのでやめました。コミュニティの垣根を越えたリンク集としてのtextmaniaがその核となるファーストステップだったのですが。

また、blogmapのように外部からコミュニケーションを加速させる仕組みを用意する方法も考えましたが、これはどうもCPUやネットワークリソースがかかりすぎます。データ量を多く・解析を細かくしないといいものはできないのだけれど、その端緒となるテストデータの段階ですでに私の使えるリソースの限界が見えてしまった。規模が小さく、解析が単純なレベルでは、単なるランキングリンク集にしかならない(現在のもの)。

その他、根本的に異なるアプローチとして、2chをはじめとする匿名掲示板系のコミュニケーションの可能性もいろいろ考えてみたんだけど、そちらに関しての話は省略。具体的な話としては、個人Webサイト系コミュニケーションと絡む部分がさほど大きくないし。マクロな話をすれば絡んでくるんだけど。

で、現在の手持ちのリソース内で、個人Webサイト系コミュニケーションを加速する手段として一番有望なのが、TrackBackなわけです。TrackBackというのは結局のところ、Webにおいてリンクする・リンクされることは当たり前であると周知し、しかもそのリンク状況を第3者にも公開する仕組みです。同じ意味をもつ仕組みであれば。技術的にはTrackBackでなくても構わないとも思うのですが、MovableTypeユーザーがそれなりに増えつつある現状においては、実践で試せるということもあってTrackBackを実装するのが一番手っ取り早い。

ちなみに、tDiaryのようにREFERERを第3者に公開する仕組みは、同様の仕組みをローコストで実装する手段としては悪くないと思います。ただ、REFERERはあまりにもノイズが大きすぎて、その情報を有効活用するのが面倒すぎるし、そこからは思想としてのリンクの自由があまり感じられない(単なる公開アクセス解析として捉える人が多いだろう)。ただし、TrackBackと比べると圧倒的にかかるコストが小さいので、REFERERを有効活用するというアプローチはありだとは思います(んで、WikiLikeのTrackBackページではREFERERも並べて表示している)。

さらに余談ですが、アンリンクフリー宣言http://ishinao.net/ruins/text/unlinkfree.html)というのも基本的には、「リンクをする・されることに関する煩わしさをすべて取り去ろう」という意志を、ちょっと諧謔的に表現したつもりでした。が、その言葉があまりにも字義通りに受け取られ、「リンクを外すことが自由」という意味でだけ取る人があまりにも多すぎたり、あるいは「アンリンクフリー。だけど、リンクしたら報告ください」みたいな人がいたり、私の意図とはかけ離れて言葉だけが暴走している感があります。

さらに再び余談ですが、現在のところは言葉交差点というWebサイトをまたがった関心空間的アプローチ、あるいはWebサイト管理者がインデックス化されるキーワードを選択できる検索エンジン的アプローチも試しています。これとblogmapを組み合わせつつ匿名掲示板的なシステムも融合させると、個人Webサイトと匿名掲示板とがクロスオーバーしたコミュニケーションツールができないかなーと夢想したりしているんですが、まあまだこれはたたき台をテストしている段階。

というわけで、長文を読解することに疲れた人のために簡単にまとめると、「TrackBackは個人Webサイト(の記事)同士をリンクで結びつけるための技術であると同時に、そのような相互言及が当たり前のものであるという思想を周知するための仕掛けでもある」ので、現時点で私はTrackBackを推しているわけです。

ちなみに

>記事の本文中にa hrefでリンクタグが有ったら、そのリンク先にXMLなりなんなりでTrackbackが出来るかどうかを調べて「Trackbackしますか?」というチェックボックスで聞いてくる。

というのはすでにPingBack(http://www.hixie.ch/specs/pingback/pingback)という仕様ができていますね。ただこれはTrackBackよりもさらにコストがかかる(リンク先がPingBack対応か調べるコストがかかる)ので、実用上はいまいちかなーと思います。TrackBackですら、記事を投稿する際に自サーバーだけでなくTrackBack先のサーバーにもHTTP接続する必要があるため、ネットワークの状況によってはかなりレスポンスが悪くなる。実際、TrackBackを使っていて不便だと思うことは結構ありますし(相手サーバーが落ちていたり)。まあそのあたりは非同期処理&リトライありにすればいいんだけど。

Published At2003-03-10 00:00Updated At2003-03-10 00:00