日記
WikiとTRON (13:49)Edit

【レビュー】Windows環境で手軽にBTRONの世界を体験できる「BTMemo」(1) from MYCOM PC WEB」の美崎さんのコメント#1に返事を書こうと思ったんだけど、ネタ的にコメント欄で収まりきれない感じなんで、本文に昇格。

ローカル環境で動作するWikiシステム

WikiMemoというのは自作のWindows用アプリケーション(現在のところ非公開)で、.NET Framework環境で動作するWiki風ハイパーテキストメモ帳です。Windowsクライアント上で、

を行うことができます。Windowsローカル環境で動作するので、

>Wikiは編集時に、(比較的小さなことの多い)枠の中で、(ブラウザによって)限られた編集機能を使わなければならないので、つらいと感じることがあります。

のようなWebアプリケーションとして実装されたWikiの欠点(Webブラウザの編集インターフェースが弱い、編集途中の保存やプレビューが不便)は解消されています(というか、解消することが出来ます)。

Wikiはもともと、Web上で多人数の手によってコンテンツを編集・閲覧することができるように作られたものですが、その仕組みのうち、

  • キーワードでドキュメント同士が結びつけられる(ハイパーリンク)
  • プレーンテキストベースの可読性が良い文法で、そこそこリッチな表現が可能になる

というところは、Web上でなくても有用な要素だと思います。そこで、その部分を中心にローカル環境用に実装し直すことによって何が可能になるのかを、WikiMemoを使って実験しているわけです。

Wiki文法で記述されるので、Web上の(WikiLikeをはじめとする)Wikiシステムにそのテキストをほぼそのまま投稿することが出来るというあたりも、Web上のWikiシステムを使っている人間にとっては利点でしょう。私の場合は、個人的なメモ(WikiLikeに掲載する文章の下書きや断片)も、仕事上のメモも、他人に見せるドキュメント(印刷)も、最近ではこの上で作ることが多くなっています。

WYSIWYGとドキュメントの内容/デザインの分離

>で、わたしは基本的にはBTRONのひとなので、WYSIWYGモードレスがいちばん楽だと思うのですが、いかがでしょう?

私はWikiの利点として、「レンダリング(HTML化)しなくてもその意図が読みとれる整形ルールになっている」ことが大きいと思っています。たとえばHTMLでは、

<ul><li>リスト項目1</li><li>リスト項目2</li></ul>

となるものを、Wiki文法では、

*リスト項目1
*リスト項目2

と自然な見た目を伴う表記で書けることになります。

つまりWiki文法テキストは、直観的なリッチテキスト編集環境をプレーンテキストベースで実現するための仕組みとして使えるのではないかと考えているのです。

また、WYSIWYGモードレスな環境は確かに直観的であるという利点がありますが、一方「HTML+CSS」のような「ドキュメントの内容とデザインは分離しよう」というアプローチもあります。ドキュメントの見栄え(デザイン)というものは、ドキュメントの内容の上からかぶせる差し替え可能な要素であり、本質ではない(場合が多い)という考え方です。

すべてWYSIWYGモードレスにしようというアプローチでは、ドキュメントの内容とデザインの分離が難しくなる気がします。

Wikiベースの場合は、

  • テキストの内容(および構造)をテキスト編集で作成する
  • それをレンダリング(HTML化+CSS装飾)する

という二つのモードを持つことにより、ドキュメントの内容(および構造)の作成と、そのデザイン(表示)を分離することが出来ます。ちなみに現在のWikiMemoでは、ドキュメントごとのCSSファイルおよびレンダリングエンジンを切り替えることが出来るようになっています。

Wikiテキストの可搬性

Wiki文書のデータはシンプルなテキストなので、どんなシステム(OS、環境)でも気軽に編集できます。またレンダリング環境がなかったとしても、テキスト自体に十分意味があります(レンダリングしなくても読解可能)。出力結果であるHTML+CSSファイルは、さまざまなWebブラウザ環境で表示することが出来ます。

また、プログラムが書ける人にとっては、Wiki文法のレンダリングエンジンは比較的簡単に実装できるので、さまざまなシステム(OS、環境)に移植することが簡単です。レンダリングフォーマットも必ずしもHTMLである必要はありません。Wiki文法を使って書かれたプレーンテキストを見栄え良く表示することが目的なのですから、たとえばAcrobat ReaderPDFドキュメントとして出力してもいいでしょう。

というようにWiki文書を中心にしたドキュメントは、非常に可搬性が高いものになります。特にWeb上で動作するWiki(文法を採用したCMS)と連携させやすいため、クライアント環境+Webサーバー環境で共通利用するドキュメントを作成するには非常に便利です。

ただ、こういうものを作っていると、構造化テキストの枠にきれいに収まらない要素(画像や添付ファイル的なもの)も取り扱いたくなります。そのあたりのリッチな機能を(UI的に)スマートに表現する手法として、BTRON的な環境は良さそうだなー。というのが「【レビュー】Windows環境で手軽にBTRONの世界を体験できる「BTMemo」(1) from MYCOM PC WEB」で書いた話なわけですね。

話が発散気味なんでひとまずここで終了。

Published At2003-05-08 00:00Updated At2003-05-08 00:00