日記
2003年6月14日 (土) - TrackBack from 結城浩の日記 (13:49)Edit

>たとえばishinaoさんの WikiLikeを見てみると、WikiにTrackBackを組み込んではいるけれど、 WikiのeditでTrackBackの一覧(関連ページ)を編集することはできない(できませんよね?)。

はい、できません。ただ、WikiLikeの場合TrackBackはコメントとして受信するようにしていて、コメントはセキュリティとか使用感とかを考えて、編集不可能にしているから編集できないというだけのことなんで、コメントも編集可能にすればTrackBackも編集できます。

というか、現状のWikiLikeはWeb日記システムとしての機能を中心に拡張しているんで、Wiki的な機能(コラボレーション方向)は限りなく少なくなっています。Wikiと名前についているけれども、どちらかというとWeb日記システム(blogでもいいけど)の一種だと考えた方がいいでしょう。公開用バージョンとして作り直しかけているもの(しかしもう2ヶ月くらい放置中だ)の設計は、Wikiベースに作ったWeb日記システムといった感じ(はてなダイアリーをもっとWiki的にしたもの、というか)だし。

ところで、TrackBackってのは、読者投稿型リンク集一言掲示板CMSと密接に連携するように組み込んだものであって、その機能自体は全然大したものではなく、そういうものをサイトをまたがって汎用的に使えるように仕様を定義したところがすごいわけです。

ただ、P2P的に他のサイトからそういうコマンドを受け入れるというのは、いろいろ問題が出る可能性があり(そういや最近どこかのWikiに組み込まれたTrackBackかららしき、大量のゴミTrackBackがここに送られていたな)、そのあたりへの対応はTrackBackの仕様としては全然定義されていません。

で、私的にはTrackBackが有効に利用される方の可能性を信じて、基本的にTrackBack受信については無制限に受け入れるようにしています。いたずらミススパム(そのうち出てくるんだろう)、アタックなどへの対応は、基本的に管理者が手動で行う方針(XSS対策などは、TrackBackに対してのみ特別に対処することはしておらず、普通のコメント投稿などと同じ扱い)。

あまりひどくなったら2ch的な(場当たり的で緩めの)対応は取るかもしれないけれども、一般的なセキュリティのアプローチ=一番厳しい設定をベースに安全なところだけ許可していく、は取る気になれないし。それをやるくらいだったら、はじめからTrackBackみたいな機能は使わない。2chもTrackBackもWikiも、基本的には性善説的(という言葉の使い方は間違っているけれども)アプローチなわけだし。

ただし、TrackBackの送信側機能に関しては、公開Wikiのようなものに取り付けようとは思いません。TrackBack送信は他のサイトへの攻撃に簡単に利用できるものだし、それを無制限に第三者に公開する気になれないので(だから、WikiLikeDevなどにはTrackBack機能は組み込んでいない)。

もしも公開Wiki的なものにTrackBack機能を組み込むとしたら、受信側は基本的に無制限にしつつ、送信側に関してはなんらかの制限をかけることになると思います。昔Ich(仮)で試してみたような(HNSと同様の)匿名性を保ったままのユーザー認証+メールアドレス登録による権限の拡張って感じかな。無制限なTrackBack送信を公開しているってのは、ある意味SPAM踏み台にされるメールサーバー(やメールフォーム)みたいなもので、管理責任が問われかねないものだから。

って、もともとの話とはずいぶんずれてしまったな。話を元に戻す。

結城さんの、

>私のサイト内の任意のURLに対して、関連リンク集を作るような感じですね。でも、それをTrackBackでやるくらいなら、 Wikiと連動させたほうが手軽じゃないか、などと思っている。

ってアプローチは、TrackBackの「読者投稿型リンク集」の機能を最大限に活用しつつ、「一言掲示板」機能は切り捨てるって感じですが、これはこれでかなり良さそうに思います。

というのは、最近TrackBackがWeb日記界隈でも導入されつつあり、それなりに活用可能な環境が整備されているわけですが、それで実際にTrackBackがきちんと活用されている事例を見ることが出来ているかというと、まだ全然ダメなわけです。代わりに目立ちつつあるのは、Wikiによる、ある話題関連リンク集の人力整備の方で、それは本来TrackBackによって自動化されるべきものです。

まあまだTrackBackの認知度が低く利用の敷居が高いため、今後に期待するというところもあるのですが、すでにTrackBackを認知しており利用することも可能な人たちの間でも、積極的に使おうという感じにはなっていない気がします

私なんかはある種伝道者的に、無理にでも積極的に使おうとしていたわけですけど、そういう意識を捨て去ってみるとTrackBackはまだまだ面倒だし、それによって得られるものも少ない。これでは普通の人は使わないよなー。得られるものが大きくなるためには利用者が増えなければならないことを考えると、今後への期待というのもかなり難しい。

それだったら、TrackBackの「関連リンク集自動作成機能」的意味と、「Wikiによる人力関連リンク集作成」を組み合わせた、新しい仕組みを考えた方がいいのかもしれない。純粋にそういう目的だけを目指して、TrackBackを換骨奪胎してみるアプローチもいいのかも。

Published At2003-06-15 00:00Updated At2003-06-15 00:00