日記
原発がどんなものか知ってほしい (20:18)Edit

2003/10/26追記

妖精現実(http://www.faireal.net/)の過去ログ(http://www.faireal.net/articles/6/12/)に「原発がどんなものか知ってほしい」への反論記事のバックアップ(http://www.faireal.net/tmp/2002/eifye.zip)があったので、読んでみた。

確かに「原発がどんなものか知ってほしい」は、あまりにも致命的な虚偽が多く、その存在はメリットよりもデメリットの方が大きそうだ。基本的に「トンデモである」という認識で捉えた方がいいだろう。ただし、そこで行われている問題提起のすべてが完全に論破されているわけではない。

私が前回クリティカルな問題の一つとして挙げた「核廃棄物の処理は本当に大丈夫なのか」という点に関しては、反論を書いた人自身もまだ問題がある(「高レベル廃棄物処理の最終的な方策は処分方法こそほぼ決まったものの、埋設地が見つかっていません」)ことを認めている。

また、私がクリティカルな問題として挙げたもう一点である「経年劣化対策は十分なのか」についても、この反論を読んでもすっきり納得は出来なかった。この反論の当時はどうだったか知らないが、最近は建築会社の手抜き工事問題はいくつも表面化しており、「手抜き工事をしたら会社の信用が落ちるからするわけない」みたいな論法は説得力に欠ける。

あとちょっと気になったのは、

>>まず大前提として『原子力検査協会』という協会は存在しないのですが

>>(財)原子力発電技術機構か(財)発電設備技術検査協会あたりがありますが、これらは決して「素人」の天下り先じゃないと思います。

のあたり。(財)発電設備技術検査協会をちらっと調べてみたけれど、少なくともその現理事長は資源エネルギー庁出身みたいだし、このあたりの団体には国家公務員出身者が多いよね。ってのを特に理由の説明もなく、「これらは決して「素人」の天下り先じゃないと思います」と切って捨てるのは、逆にうさんくささを感じる(「関連省庁出身=素人じゃない」っていうのかもしれないけど、基本的に天下りってのは「関連省庁出身者が」って定義なんだから、問題は「素人」の定義になるだろう)。

まあそういう点を差し引いても、反論の方が総合的な説得力は高かったので、「原発がどんなものか知ってほしい」は「トンデモ」ってことなんでしょう。ただ上記のような問題提起の文章として、私にとっては意味があった。


2003/10/21

20年原子力発電所の現場で働き(ガンで?)亡くなった方が語る、現場における原子力発電所の話。

設計の段階では優秀でも、施工・運用・監査は素人がやっている現実。実際の稼働・運用時に現場で起きているさまざまな問題。それらの問題を表沙汰にしないための情報コントロール。今まで国内で起こった事故の本来の意味。稼働した原子炉および核廃棄物の将来的な取り扱いの不透明さ。原発周辺住民の身に起きていること。

原子力発電所推進派の、この文章に対する反論を聞いてみたい。

2003/10/23追記

暗黒日記(http://members.jcom.home.ne.jp/w3c/omake/diary.html)平成十五年十月二十二日によれば、

>>「原発がどんなものか知ってほしい」はトンデモ。信じてはいけない。讀みたい人は、頭から信じてしまはないで、ちやんと批判的に讀む事。と言ふか、知識のある人に改めてきちんと批判をやつて貰ひたいもの。

なんだそうだ。

かつてWeb上に存在したという、この文章に対するまとまった反論が現在では読めなくなっているそうで、断片的な反論的文章がいくつか紹介されている。

ただ、上記を読んでもまだすっきりしないなー。個人的にクリティカルな問題だと思っている点として、

  • 原子力発電所といえどもその構成要素の経年劣化は避けられない(しょせんはふつうの建物であり機械である)はずだが、それに対して本当にきちんと対処されているのか。特に稼働によって放射能汚染される(あるいは外部汚染を食い止めている)部位のすべてが、きちんと10年単位での経年劣化対策(日々の運用におけるメンテナンス作業)を施されているのか。
  • 核廃棄物の処理に関して、数百年から数千年というオーダーの半減期を持つ放射性物質に対して、「一定期間貯蔵」「密閉」などという対処法は本当に有効なのか(再処理による除去は有効そうだけど、それでどの程度対応できているんだろう)。十分な貯蔵期間を確保できているのか? 密閉に使用する素材などは本当に保つのか?

あたりなんだよな。確かにそれらの問題に対しても、技術が進歩していっている過程は読みとれるけれども、十分に安全であるようには読みとれなかった。そのあたりに関するまとまった文章ってどこかにないかな?

Published At2003-10-21 00:00Updated At2003-10-21 00:00