日記
言論統制のツールとしてのGoogleEdit

新設サイトはハンディがあり、すでに地位を確立したサイトの関心を引かなければ存在感を示せない。

重要ページからの一票には重みがあり、対象ページの重要度を上げることにつながる

「主に検索エンジンを通じて世界を見ているかぎり、『第二のスーパーパワー』という言葉に他の意味もあり得るのだとはなかなか信じられないだろう。この言葉の本来の意味はほとんど消滅してしまったのだから」

だが、一見とても民主的なシステムが実際には言論統制のための便利なツールとなるというのは明白な事実だ。

Googleの検索結果順位は、高いPageRankを持つサイトを運営している少数の人間によってコントロール可能である。ある言論に関してGoogleで検索した結果は、PageRankの影響力を行使することによって、誰かが望む方向に偏らせうる。

身近な話として、うちも協力した「『「斎藤環氏に聞く ゲーム脳の恐怖」のGoogleランクを上げよう』運動」が挙げられている。いつのまにやら該当ページは「ゲーム脳」の検索結果1位にまでのぼりつめている。これは(Web人口全体から見て)少数の人間の意志によって、ある言論に対するGoogle検索を通した評価を偏らせた(その偏らせた向きの是非についてはここでは問わない)具体例だ。

ところで、ここのサイトで使っているコンテンツ管理システムは、Wikiに影響を受けた「キーワード指向」を採用しており、SEO(検索エンジン最適化)的な評価が高くなりがちだ。が、実際のところほとんどどうでもいい内容にたまたま使われていたキーワードが、Google検索で上位にヒットするのは、あまりうれしくない。

おそらくGoogleは、現時点では「ページのリンクによる関係性の解析による重み付け」と「キーワードがドキュメント内でどのようにマークアップされているか」の評価が非常に高く、その二つさえ備えていればそれだけで高い評価に結びついてしまうのだろう。それはこの間話題にした「TrackbackページがGoogleで高評価になってしまう|http://mylog.ishinao.net/id/949」にも通じる。

そのようなリンクとマークアップを重視した重み付けの問題点を解決するために、今後Googleは、そのキーワードがどのような文脈で使われているかなどといった、非常に高度な意味解析をも併用していくようになるのではないか(すべてに適用するのは負荷が高すぎるから、従来評価で高評価になったページに対してのみ、さらに意味解析も適用する感じかな)。

などと想像していたのだけれども、意味解析を併用するような方向に向かったとしても、今回問題にされている「言論統制のツール」としての性能は変わらないことになる。検索エンジンとしての中立性(=Googleが高い評価を得ている大きな理由)が失われる可能性は、なくせるならばなくしておきたいだろう。

ではどのように対応するか。というところで、逆転の発想をしてみた。「言論統制のツール」として中途半端に使われるくらいならば、より積極的に「言論統制のツール」としての機能を管理してしまえばどうだろう。つまり、意味解析機能を強化することによって、ある言論に対する各ページの立ち位置までも検索出来るようにしてしまうのだ。

たとえば「ゲーム脳」で言うならば、「ゲーム脳という言葉をどういう意味で使っているか」「その使い方において、その言葉をどのように評価しているか」という軸まで検索できるようにしてしまう。そして、検索結果には「意味」と「評価」ごとに高い評価を持つページをまとめて表示する。

なんて簡単に言っているけど、そこまで高度な意味解析を検索エンジンに適用するのはめちゃめちゃ難しいだろうなー。でも、「ゲーム脳」で検索したら「肯定 10/12149 否定 10/8305 判別不能 10/32553」とかいうトップ10×3が出るようになったら面白そうだ。

そういや、「著作権の問題から、ネット上では原典に当たることが出来ない」という問題については、最近Amazon.comがはじめた「書籍の全文検索サービス」みたいなものと連携することで、ある程度対応できそうだな。っつーかそういう機能は国会図書館みたいな公的機関でやってけろっこ。

Published At2003-10-27 00:00Updated At2003-10-27 00:00