日記
(14:38)Edit

いかんいかん、感想を書かないでいたら『』が届いちゃったよ。こっちをちゃんと読む前に『ウェブログの心理学』の感想を書いておこう。

この本は、Web(インターネット)で個人的な文章を継続して発表すること(ウェブログ/Web日記/個人サイトなど。以降ウェブログという言葉で代表させる)に関するさまざまな知識や情報をまとめたものだ。

内容としては、

  • Webを使ったコミュニケーションの特徴
  • 日本における歴史、ツールやサービス、コミュニティの紹介
  • ウェブログの分類
  • ウェブログを書くということ・人の分析
  • 従来そして今後の課題
  • Web日記/ウェブログを続けるに当たってのさまざまなアドバイス

などが網羅されている。

実際長年にわたってウェブログを書いてきた筆者たちが、その経験と社会心理学者という学問的知識を背景にまとめたこれらの文章は、ウェブログ作者のためのケーススタディとして活用することができる。

すでにある程度の期間ウェブログを続けてきた人は、その中のいくつかの知見をすでに手に入れていることだろう。また、自分の中で漠然とまとめきれずにいた知見が、この本によって改めて明確化(文章化)されるといったことも多いだろう。まだウェブログの経験が浅い人も、この本を読んでおくことでためになる点が多いはずだ。歴史は繰り返されており、先人が経験によって培ったノウハウは、現在でも十分に役に立つことが多いからだ。

たとえば、p17で紹介されている、さまざまなウェブログを自己表現の方法と情報の種類で分類した以下のマトリックスなどは、自己および他者のウェブログを分析する際には非常に参考になるだろう。

直接的自己表現間接的自己表現
情報重視個人属性タイプ(名刺型)情報編集タイプ(雑誌型)
自己重視内面表出タイプ(自伝型)作品展示タイプ(作品型)

歴史資料としての意義は、『教科書に載らないニッポンのインターネットの歴史教科書』の圧倒的な情報量には劣るが、『教科書に〜』は歴史的な事実の詳細な記録という形式で記述されており、たいていの人はその圧倒的な情報量を咀嚼しきれないだろう。ウェブログに特化した歴史の概要を追いたい場合は『ウェブログの心理学』の方が便利だろう。

で、ここからは余談。

『ウェブログの心理学』は比較的細かいところに気を配ったアドバイスが書かれているけれども、あくまでも「表通りの歩き方」的な話にとどまっている。で、『教科書に〜』をぱらぱらっとめくった感触では、こっちはかなり裏通りの話まで書かれているみたいだけど、基本的に「事実の記録」を重視している感じで、『ウェブログの心理学』みたいなアドバイス的な部分は含まれていなさそう。

というわけで、誰か「裏通りの歩き方」的なアドバイス本を書いてみると、スキマが埋まっていいかもしれない、とか思った。具体的には、「フレームにならない議論のやり方」「2chで晒されたときの対処法」とか。あるいは「ネットバトル(フレーム合戦)のやり方」もあった方がいいかもしれない。小倉弁護士的あたりに「コメントスクラムへの対処法」とか寄稿してもらいつつ(笑)。

なんか

読み返してみると、まるで『ウェブログの心理学』がハウトゥ本のような書き方になっているな。『ウェブログの心理学』で得られるのは、いわゆるハウトゥ本的な知見ではなく、メタウェブログ(ウェブログを書くということに関してのメタな思索)的な知見なのですよ。とフォローしておこう。

Published At2005-05-12 00:00Updated At2005-05-12 00:00