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テニス観戦記
2012全豪オープン10日目Edit

  • Petra Kvitova(CZE)[2] def. Sara Errani(ITA) 6-4 6-4
  • Maria Sharapova(RUS)[4] def. Ekaterina Makarova(RUS) 6-2 6-3

女子シングルスは順当な結果で、若手実力派とベテラン実力派の組み合わせがそれぞれ残った。

  • Andy Murray(GBR)[4] def. Kei Nishikori(JPN)[24] 6-3 6-3 6-1
残念。だけどまあ順当だし、個人的には、思ったよりも現時点での錦織のテニスがマレーに通じていたことが、ちょっと嬉しかった。

特にストローク戦は、普段通りのバックハンドクロス中心のラリーで、マレー相手でも少しは優勢に展開できていたのに驚いた。マレー相手ならば、あのバックハンドクロスラリーで押し負けるのではないかと思っていたが、通常モードのラリーならば錦織のバックハンドはマレーにも引けを取らないのか。

あと、ストローク戦での左右の振り回しに関しても、マレーが相手だったらもっとカウンター気味の逆襲を食らって不利になるのではないかと思っていたのだが、そんなこともなく普通に錦織が主導権を握った状態での振り回しができていた。

まあ、マレーの守備力が高いんで、錦織が主導権を握った状態でいくら振り回しても、なかなかポイントに結びつけることは難しかったのだが。

また、振り回すときに錦織の方も、マレーのカウンターが出にくいように、あまりショートクロスになりすぎないように気をつけていたように思う。アプローチからネットに付くときも、あまり角度をつけずにパスのコースを限定するようにでたり。

サーブに関しても、思ったよりもボディサーブと緩急が効いていて、後半慣れてきたらマレーにリターンでがんがんと叩かれるのではないかと思っていたんだけど、リターンで主導権を握られるシーンはそれほどなかった。もちろんもっとサーブがいいにこしたことはないけれども、あのくらいのサーブだったら全然OKだ。

リターンに関しては、マレーのファーストがあまり良くなかったから、ファーストのリターンがどのくらい通じるのかはよくわからなかったけど、セカンドのリターンに関しては結構いやらしく叩いていけていたし、十分プレッシャーをかけられていたと思う。

一番大きな違いだったのは、ブレイクポイントやゲームポイントのような大事なポイントをしっかり取りきる力。マレー相手に10回もブレイクポイントを握ることができたのに、結局2回しかブレイクできなかった。

その辺りは大事なポイントでレベルを上げる余力と、ポイントを取るための切り札的な戦術の有無が大きいんだろう。この部分に関しては、元々錦織は得意な方だから、実戦経験を積み重ねながらトップ4にも通じるようなポイント奪取能力を身につけて欲しい。それができればトップ4相手にもっと戦える。

マレーのできもテンションも、試合を通してマックスからはほど遠かったけど、錦織のできの方も疲れもあったしベストという感じではなかったので、今回の内容は今後のマレー、ひいてはトップ4との戦いに際して十分参考になるだろう。

今シーズンこれでスタートダッシュはできたので、あとは怪我に気をつけながら、しっかり現在のランキングの有利を活かしていけば、全米後のトップ10入りも夢じゃないはず。すげー期待してる。

  • Novak Djokovic(SRB)[1] def. David Ferrer(ESP)[5] 6-4 7-6(4) 6-1
結果だけ見るとジョコビッチの楽勝に見えるけれども、実際にはかなり問題がある内容だった。

まずファーストセットは、ジョコビッチはそれほどペースを上げずに、それでもフェレールよりは優位な展開を維持しながら、1ブレイクしてセットを取った。しかし、フェレールの粘り強いラリーに長々とつきあわされ、6-4の割にはほぼ1時間かかるセットになった。

そしてセカンドセット。途中でバックハンドサイドに大きく走らされたディフェンシブなショットの際に、左足太ももを痛める。結局メディカルを呼ぶこともなかったので、怪我の程度を推し量るのは難しいのだが、セカンドセットのほとんどの時間、足の怪我の影響を感じさせるような動きが多く、ミスも格段と増えた。

セカンドセットの最後の方には怪我の影響を感じさせることは少なくなりタイブレークを取りきったが、時々完調とは思えない動きをみせることがあったので、実際のところは完全に問題がなかったわけではないだろう。

セカンドセット中盤からサードセットにかけては、足への負担を軽減するためか、ウィナー狙いのショットの割合が増え、しかも徐々にショットの内容が良くなっていったため、一気にサードセットを取りきって勝ったのだが、その辺りも本来の作戦だったのか、怪我の影響を受けての作戦だったのかが気になる。

ヒューイット戦中盤に失速したときも、突然疲れが出たみたいなことを言っていたらしいが、ジョコビッチに関してはここに来てフィジカル的な不安が大きく顔をのぞかせ始めた。フィジカルが完調じゃなければ、マレー相手に勝ちきることも難しいのではないだろうか。

11日目注目の試合。

  • Kim Clijsters(BEL)[11] vs. Victoria Azarenka(BLR)[3]
  • Maria Sharapova(RUS)[4] vs. Petra Kvitova(CZE)[2]
  • Roger Federer(SUI)[3] vs. Rafael Nadal(ESP)[2]
女子は、ここからクライシュテルスとクビトバが残って決勝を戦うという予想なんだけど、シャラポワは相変わらず頑張ってるねー。面白みがなくて好きなプレイスタイルではないけど、あのひたすら愚直に強打で攻撃を続けるメンタルの強さは買う。でも今ならクビトバの方が上かなー。

そして、フェデラー vs. ナダル。今ならフェデラーが7:3で有利とみているんだけど、ナダルにはフェデラーがいやがるプレイをする能力があるから、実際にやってみないとどうなるかはわからない。ナダルのできもいいし、つまらない試合にはならないだろう。楽しみ。

Published At2012-01-25 21:23Updated At2012-01-25 21:23

テニス観戦記
2012全豪オープン9日目Edit

  • Victoria Azarenka(BLR)[3] def. Agnieszka Radwanska(POL)[8] 6-7(0) 6-0 6-2
  • Kim Clijsters(BEL)[11] def. Caroline Wozniacki(DEN)[1] 6-3 7-6(4)

クライシュテルスとウォズニアッキの試合はちょっと見たけど、やっぱりリスクを取って攻めることができるクライシュテルスに対して、どうしても安全な範囲で攻めるのが癖になっているウォズニアッキは、GSのような大きな大会では弱いな。

ウォズニアッキも結構頑張って攻めてはいたんだけど、相手に先に攻められたときにクライシュテルスはぎりぎり追いついたような球に対しても、さらにある程度攻撃的に返すことが多いんだけど、ウォズニアッキはちょっと難しそうな球はリスクを取らずに安全に返してしまうことが多い。

さすがにディフェンス力が高いから、そういう球も相手のチャンスボールとまではならないんだけど、相手に攻撃の意思が強い場合は、そういう球を強引に叩いてきて、さらに相手のペースに持ち込まれてしまう。

ウォズニアッキも、追い詰められたセカンドセット後半は、そういう球を強引にカウンターを取ろうとしてらしくないミスをしたりしていたが、チャレンジするならスコア的な形勢が不利になってからじゃ遅い。やるならもっと早い段階でやっておかないと。

ということで、予想通り順当にウォズニアッキは消えたから、クライシュテルスのチャンスはだいぶ大きくなったな。もう片方の山がシャラポワ、クビトバが勝ち上がってきたら、それぞれの山がベテラン vs 若手の組み合わせと、相似形になるな。

  • Roger Federer(SUI)[3] def. Juan Martin Del Potro(ARG)[11] 6-4 6-3 6-2
デルポトロのできはそんなに悪くなかったと思う。スロースタートでファーストセットの出だしはぱっとしなかったけど、ファーストセット中盤からは全米でフェデラーを倒したときのような横殴りフォアクロスも打てていたし、そういうえぐい球を打っていてもそれほどミスが出ていなかった。

ただ、やっぱりこの大会のフェデラーは全盛期を彷彿させるできだ。できの悪くないデルポトロ相手にあっさりストレート勝ち。

  • Rafael Nadal(ESP)[2] def. Tomas Berdych(CZE)[7] 6-7(5) 7-6(6) 6-4 6-3
ベルディヒは、セカンドセットを取り切れなかったのがすべてか。今日のあのできだったら、ハードコートでナダルを倒すことは難しくなかったと思う。ショットのできも良かったし、攻撃するメンタルも良かった。中盤まではベルディヒが主導権を握る展開を作れていたと思う。

ただ、ナダルが不利な展開からも集中力を切らさず、持ち前の粘りとカウンターショットを活かして、何とかセカンドセットを取った辺りから、ナダルのメンタルとフィジカルの強さが、ベルディヒの持つ高い攻撃力という有利さを徐々に覆していった。ベルディヒが勝つにはあのセカンドセットは落としちゃいけないよ。まあ、あのセカンドセットを取り返したナダルがすごいんだけど。

さらに最後の方では、ハードコート仕様の攻撃型ナダルになり、ベルディヒがいいプレイをしていても上回れないところまで、レベルを引き上げていた。ベルディヒもミスは出ていたけど、最後までいい攻撃をみせてはいたんだけど、ロングマッチ後半のナダル相手に、ああいう攻撃的プレイで上回るのは難しいな。

さてこれでSFでナダルとフェデラーがぶつかる。もしかしてGSのSFでこの二人がぶつかるのは初めてか? と思ったら2005年の全仏でもあったか。

去年終盤のナダルとフェデラーだったら、このコートならばフェデラーが圧勝していそうだったけど、この大会のナダルはハードコート向けの調整がかなりできていているから、フェデラーにも対抗できそう。

昔ながらの、フェデラーのバックをヘビースピン中心で攻めつつ、フェデラーに無理な回り込みをさせて、それに対するカウンターショットを狙って行くのか。フェデラーは、去年終盤には成功していた、ナダルに対してもバックハンド攻めをやり返し、ナダルの優位な状況を作らせないようにしてから、フォアハンドによる攻撃で展開していくのか。あるいは二人ともそれ以外の戦術選択肢を用意してくるのか。

このコートならばどちらかというとフェデラー有利だとは思うけれども、ナダル陣営が去年やられた経験から、何らかの対抗策を用意してきている可能性もあるし、試合が始まってみないとどうなるかわからないなー。とてもたのすみだ((c)爆笑問題太田)。

  • Roberta Vinci(ITA) /Daniele Bracciali(ITA) def. Kimiko Date-Krumm(JPN) /Kei Nishikori(JPN) 6-3 7-6(6)
伊達錦織のミックスダブルスは2回戦負け。1回戦よりも相手がだいぶ強かったし、伊達錦織ペアはもったいないミスが多かったし、セカンドセットは競って落としたんで試合内容的に惜しかったし、錦織の体力的にももったいなかった。が、まあもう終わったこととして忘れよう。

10日目の注目試合。

  • Andy Murray(GBR)[4] vs. Kei Nishikori(JPN)[24]
  • Novak Djokovic(SRB)[1] vs. David Ferrer(ESP)[5]
マレーと錦織戦の展望などに関しては昨日ぐだぐだ書いたんで省略。一方的な展開にならないことを祈るのみ。

ジョコビッチ vs フェレールは、ヒューイット戦がなければジョコビッチの圧勝だと思っていたんだけど、ヒューイット戦の途中で自滅気味にミスを重ねてセットを取られた姿を見ていると、ジョコビッチもそれほど盤石じゃなさそう。

攻撃力の低いヒューイット相手に攻めあぐねて自滅するという展開は、フェレール相手にも同じことが起こりうる。フェレールの方がヒューイットよりも攻撃力も守備力も体力も上回っているし。

ここでフェレールが勝ち上がっても、SF以降のおもしろみが薄れそうだから、ジョコビッチに盤石に勝ち上がって欲しいんだけど、どうなんだろうなー。

Published At2012-01-24 23:24Updated At2012-01-24 23:24

テニス観戦記
2012全豪オープン8日目Edit

  • Kei Nishikori(JPN)[24] def. Jo-Wilfried Tsonga(FRA)[6] 2-6 6-2 6-1 3-6 6-3

勝っちゃったよ。すごいね。

錦織もツォンガも悪くない立ち上がりで、それでもツォンガがファーストセットをダブルブレイクで取っちゃったから、ちょっといやな感じがしたんだけど、セカンドセットから基本的に錦織が主導権を握ることが多い展開。

やっぱりバックハンドストローク力の差が大きいと、ラリーからの展開がだいぶ有利になるね。あと、ツォンガのかなりいいサーブにも錦織がきちんと反応して取れていたのが良かった。昔ナダルのアドサイドワイドスライスを全然返せなかった頃と比べると、ものすごくレシーブ力が上がっているんだなー。ツォンガのセンターフラットを、ぎりぎり手を伸ばした状態でしっかり深くまで押し返したりしていたし。

第4セットもそのままいけるかと思ったけれども、セット終盤にツォンガがスーパーツォンガに変身してしまい、確率の悪い攻撃を50%以上の確率で決めてきたせいで、2セットオールに追いつかれてしまう。

しかし、スーパーツォンガのだしどころが早すぎた。ファイナルセットで通常モードに戻ってしまったツォンガに対して、錦織は今まで通り安定した戦いで先にブレイク。こういう風に、ベースのストローク戦で押し勝っているときは、錦織特有のトリッキーなコース変更とかがよく決まる。

しかも1ブレイクした後は、相手のサーブゲームは戦わずして捨て、自分のサービスゲームキープに集中するという、まるでフェデラーのような横綱相撲で勝ちきった。実際のところ、そんなに自分のサービスゲームを信用して大丈夫かよ、とか思いながら見ていたんだけど、正直すまんかった。

さてこれで次は、

  • Andy Murray(GBR)[4] def. Mikhail Kukushkin(KAZ) 6-1 6-1 1-0 Ret.
と、相手のリタイアで楽に勝ち上がってきたマレーとQFを戦うことになる。まあ相手がリタイアしなかったとしても、マレーの疲労度はそれほど変わらなかっただろうけど。

錦織とマレーの現状での戦力差は圧倒的で、とても勝てる気がしない。錦織にできることはたいていマレーにもできるし、錦織にはとうていできないこともマレーはいろいろやれる。けれども、そういってあきらめてしまうのもいやなんで、現状の錦織がマレーに対抗できる戦術はないだろうかと、本気で考えてみることにする。

まず錦織のサーブゲームについて。ファーストは威力よりはコースと確率重視でいった方がいいだろう。錦織特有のバリエーションの多い球種・コース・速度のサーブを、徹底して使っていった方がいい。錦織のサーブ力で真っ当なサーブを打っていったら、マレーが慣れてきたらものすごいリターンをされてしまいそうだ。

あと、バックハンドにはねるサーブは厳禁。マレーにとってバックハンドにはねるサーブは大好物だ。逆にスライス系の跳ねない滑るサーブの方が叩かれなくていいかも。その場合はリターンで角度をつけにくいコースを中心に散らしていく。深くて跳ねない確率のいいファーストサーブが欲しいね。

リターンゲームに関しては、マレーのファーストサーブが入っているときはあきらめるしかない。できるだけ頑張って返すしかないけれども、いいサーブが入ってきているときには基本的にはどうしようもない。

ただ、セカンドサーブに関しては、最近だいぶ良くなってきてはいるけれども、やはりファーストサーブに比べれば格段に落ちるんで、セカンドサーブをミスしない範囲でできるだけ嫌らしく返して、ファーストサーブのプレッシャーに変えていきたい。速度や威力よりも深さ重視のリターンがいいかな。

ストローク戦に関しては、普通に打ち合っている分には錦織もマレーに見劣りはしないはず。ただし、普通に打ち合っていてもマレーが相手だと主導権を握ることは難しい。かといって、中途半端な仕掛けはマレーのカウンターの餌食になるんで、中途半端な仕掛けになりそうだったら、ひたすら深くに球を返すことに集中した方がよさそう。

じゃあ、どうやって攻撃したらいいのかというと、あまりにも選択肢が思いつかない。コースで振り回したり、浅い球で前に出したりしたところで、マレーはカウンターショットもネットプレイもドロップ返しもうまいから、どうやっても錦織が上回れる気がしない。バックハンドの差し合いも、スピンもスライスもマレーは錦織と同レベルかもっと上だろう。

あまり分がよくはないだろうが、試してみたい戦術としては、あまり角度をつけないダウンザミドル中心の深いストロークを続けておいて、できればマレーに先に仕掛けさせ、そのカウンターを狙っていく戦術。その際にはマレーのフォアハンドから仕掛けさせたい。

あるいは、あまり角度をつけないフォアハンドのクロスの打ち合いを続ける中で、強打だけでなく球種や球の深さをいろいろ変えていき、その中でマレーに先にフォアハンドで仕掛けさせる。

どちらにしろ、マレーの調子が良ければ、鬼のようなフォアハンドで叩かれ、何とか返してもネットプレイで終了って感じになってしまいそうだけど、マレーがフォアハンドからの仕掛けのミスを連発していらだってくれれば、マレーのメンタルの悪化に遭わせてプレーレベルが落ちてくれるはず。

そうなると連鎖して最初にサーブのできが悪くなるはずだから、次はセカンドサーブをより積極的に攻撃していく。するとファーストサーブの確率がさらに落ちていくはず。

といった感じで、マレーに先にフォアハンドでしかけさせ、何とかマレーのミスがかさむ展開に持って行き、マレーの精神状態を悪化させる。それによって、マレーのサーブ力を引き下げさせ、レベルが落ちてきたサーブを狙って、その穴を広げていく。

というのが思いつく範囲では一番確率が高そうかなー。うまくいくかどうかはマレーのでき次第だし、うまくいったところでそれほど勝ち目が大きい戦い方ではないけれども、現有戦力でマレー相手に戦うとなると、マレーのわずかな欠点をなんとか強調させて一点突破していくしかなさそうに思う。

もちろん錦織がスーパー錦織になって、ものすごい強打をコースにばしばし決めて、しかもミスをせず、マレーのディフェンス力を上回る攻撃を最後まで続けて勝ちきる、なんて可能性もゼロではないけれども、そんなのは戦術でもなんでもないしな。

  • Novak Djokovic(SRB)[1] def. Lleyton Hewitt(AUS) 6-1 6-3 4-6 6-3
昨日の予想通り、ヒューイットのガッツが圧勝街道を進んでいたジョコビッチに1セットダウンという土をつけさせた。が、ヒューイットのガッツもそこまでだった。やはり普通のストロークの打ち合いをしているだけで優位が取れるジョコビッチに勝つのは難しい。でも、まだまだヒューイットもやれるね、ということが確認できた試合だった。
  • David Ferrer(ESP)[5] def. Richard Gasquet(FRA)[17] 6-4 6-4 6-1
ティプサレビッチに圧勝していたし、この大会のガスケはよほどいいガスケなのかと思っていたのに、実際に見てみたらあまり良くないガスケだった。フェレールは良かったけど、でもフェレールはいつもあの程度はいいできだから、それと比べるとガスケはぱっとしなかった。

あまり意識していなかったけど、もしかしてガスケってフェレールみたいなタイプは苦手なのかな。バックハンドの自由度が武器のガスケに対して、フェレールはバックハンドのショートクロスで振り回されても苦にしないし、粘り強くそこそこいい球を返し続けてくるからなー。

と思ってHEAD to HEADを見てみたら、フェレールの5勝1敗という成績だった。やっぱりガスケはフェレールが苦手なのね。

  • Andrea Hlavackova(CZE)[7] /Lucie Hradecka(CZE)[7] def. Rika Fujiwara(JPN) /Ayumi Morita(JPN)6-3 3-6 6-2
藤原森田のダブルスは残念ながら2回戦敗退。途中変わった誤審騒動があって面白かった。草トーでもあるまいし、あんなレベルの誤審があるもんなんだね。
  • Ekaterina Makarova(RUS) def. Serena Williams(USA)[12]6-2 6-3
  • Maria Sharapova(RUS)[4] def. Sabine Lisicki(GER)[14] 3-6 6-2 6-3
セレナがこんなところでこんな相手に負けてしまった。体調がいまいちだったのか、それとも本当に力が落ちたのか。

かなり苦戦していたようだったけど、シャラポワがベスト8まで残った。全盛期と比べるとサーブ力がものすごく落ちてしまっているんで、ネームバリューの割にはぱっとしない選手になってしまっているけれども、それでもそこそこ勝ち残れるのは、今の女子テニス界の層の薄さか。

俺の予想ではクビトバ本命、(ズボナレワは負けちゃったんで)クライシュテルス対抗だったんだけど、クビトバも今大会はそれほど絶対的な強さをみせているわけではないし、シャラポワもそこに割っては入れるかもなー。ウォズニアッキは、QFでクライシュテルスと当たってしまうという不運。本当に女子のドローはぐちゃぐちゃだ。

9日目の注目カードは以下。

  • Victoria Azarenka(BLR)[3] vs. Agnieszka Radwanska(POL)[8]
  • Caroline Wozniacki(DEN)[1] vs. Kim Clijsters(BEL)[11]
  • Juan Martin Del Potro(ARG)[11] vs. Roger Federer(SUI)[3]
  • Tomas Berdych(CZE)[7] vs. Rafael Nadal(ESP)[2]
  • Roberta Vinci(ITA) /Daniele Bracciali(ITA) vs. Kimiko Date-Krumm(JPN) /Kei Nishikori(JPN)
さすがにここまでくるとシングルスは女子も男子も注目カードだけか。女子は対戦自体が注目というよりは、飛び抜けた実力の主がいないから、この中の誰が勝ち残るかわからないという意味で注目。

デルポトロとフェデラーがぶつかる。フェデラーは去年の後半からの好調を持続している状態。デルポトロは怪我空けで大きく落とした順位を徐々に戻しつつある最中。去年の年末一度は失速した感があったが、GSではしっかり調子を取り戻してきた模様。

最近の調子だけを見ればフェデラーの勝ちだが、デルポトロにはGSでフェデラー相手に爆発した実績があるし、あのモードに入ったデルポトロは誰にも止められないだろう。この対決の結果は、デルポトロのでき次第か。

悪役ベルディヒとナダルの対決。あれだけブーイングを浴びたベルディヒのメンタルはどうなんだろうなー。開き直って調子を維持していると面白い戦いになりそうなんだけど。ナダルは、さすがにこのクラスの攻撃力がある相手だとハードコートでは楽勝というわけにはいかないだろう。ただ、この大会のナダルはハードコートでも強いモードにしっかり調整できているみたいだから、ベルディヒが好調だったとしてもそれだから負けるということもないだろう。ベルディヒが好調で面白い試合になるといいな。

伊達と錦織のミックスダブルスに関しては、まああまり長引かずにすかっと終わって、どうせなら勝てるといいね。

Published At2012-01-24 00:14Updated At2012-01-24 00:14

テニス観戦記
2012全豪オープン7日目Edit

  • Kim Clijsters(BEL)[11] def. Na Li(CHN)[5] 4-6 7-6(6) 6-4

予想通り、決勝でもいいくらいの内容だった。リーナは勝利をほぼ手中にしつつも、クライシュテルスの粘りで勝ちきれず、その後は集中力を失ってしまったように見えた。

それにしてもリーナの旦那コーチの試合中のコーチングは目に余るな。

  • Roger Federer(SUI)[3] def. Bernard Tomic(AUS) 6-4 6-2 6-2
トミックのディフェンス力がフェデラーの早い攻撃に通じるかどうか=錦織よりもトミックの方が現時点での対トップ4での能力は上かどうかを測る試金石だったんだけど、やはり錦織同様にフェデラーの圧倒的な攻撃力の前にはトミックのディフェンスは砕け散ってしまった。トミックは対トップ4の能力は錦織と同程度かな。さすがトップ4の壁は分厚い。

さすがのふてぶてしいトミックも、あそこまで見事なフェデラーショーの前では闘争心をかき立てるというよりも、あまりに見事なプレイに敵ながらあきれてしまう感じだったか。

フェデラーはここまでいつものフェデラーらしい完璧なGS第1週を過ごしてきた。これは準決勝でのフェデラー vs. ナダル戦のクオリティは高くなりそうだ。といいつつも、ナダルが本当に準決勝まで残れるのかについては、まだ不安があるのだが。

  • Caroline Wozniacki(DEN)[1] def. Jelena Jankovic(SRB)[13] 6-0 7-5
もっといい勝負になるかと思っていたら、ファーストセットがベーグルとは。どういう試合内容だったんだ?
  • Tomas Berdych(CZE)[7] def. Nicolas Almagro(ESP)[10] 4-6 7-6(5) 7-6(3) 7-6(2)
強いのにぱっとしないベルディヒが、今後ヒールとして華々しく生きていくことに決めた試合。

次のナダル戦も完全な嫌われ役としてブーイングを浴びることになるだろうけど、それで心が折れてナダルに完敗するようじゃただのアホだ。嫌われながらも実力を発揮すれば、ハードコートならばナダルとも互角以上の戦いができるはず。っつーか、こんなことをやったんならそれくらいやれよ。

  • Kimiko Date-Krumm(JPN) /Kei Nishikori(JPN) def. Gisela Dulko(ARG) /Eduardo Schwank(ARG)6-4 6-1
錦織と伊達のミックスダブルスは、なぜかあっさり勝ってしまった。このくらい楽に勝てるならば、シングルスに掛かる負担も最低限で済ませられるか。ただ、このミックスダブルスのドロー、錦織達の次の相手になるはずだったナンバー1シードが1コケしてしまい、実質ナンバー1シードのポジションに入ってしまったことになる。もしかしたらいいところまで勝ち進んでしまうかも。

8日目の注目試合は以下。

  • Novak Djokovic(SRB)[1] vs. Lleyton Hewitt(AUS)
  • Kei Nishikori(JPN)[24] vs. Jo-Wilfried Tsonga(FRA)[6]
  • Richard Gasquet(FRA)[17] vs. David Ferrer(ESP)[5]
  • Rika Fujiwara(JPN) /Ayumi Morita(JPN) vs. Andrea Hlavackova(CZE)[7] /Lucie Hradecka(CZE)[7]
ジョコビッチとヒューイットの戦いは、おそらく一方的な内容になるだろうけれども、それを覆すようなガッツがヒューイットにあるかもしれない、というわずかな期待にかけて。

錦織とツォンガの試合は、錦織の調子さえそこそこならば、たとえ調子がいいツォンガ相手でも一方的な試合展開にはならないはず。逆にツォンガは錦織に連敗していて、ものすごくいやな印象は持っているはずだから、競る展開になるとツォンガの方にプレッシャーがかかる。

サーブ力は圧倒的にツォンガが上。バックハンドは錦織がだいぶ上。フォアハンドはそれほど変わらず。ネットプレイはツォンガが上。フットワークは錦織が上。現時点での体力はおそらくツォンガが上。ショートポイントが多くなればツォンガ優勢、ロングラリーからの展開なら錦織が優勢か。ただし試合が長引くと錦織には体力切れの危険性が出てくる。状況は錦織の方が少し不利かな。まずはツォンガのサーブをどれだけ安定して深く返せるかが勝負のポイントになりそう。

好調ガスケとフェレールの戦いは拮抗しそうだ。フルセットマッチになってもおかしくないが、ここでフルセットをやらかしてしまうと、勝ち抜けた方も次の試合に響くだろうな。

藤原森田ペアのダブルスも3回戦に。ここを勝ち抜けるとダブルスランキング的にもだいぶ変わってくる。どうせならもう一声いってほしい。

Published At2012-01-23 09:29Updated At2012-01-23 09:29

テニス観戦記
2012全豪オープン6日目Edit

  • Novak Djokovic(SRB)[1] def. Nicolas Mahut(FRA) 6-0 6-1 6-1

ジョコビッチは絶好調を維持。ここまでの失ゲーム数は10。獲得ゲーム数は54。もちろん失セットはなし。ほかにも調子がいい選手はいるけど、これはもう圧倒的だね。トップ4同士の直接対決じゃないと、まともな勝負にならないか。

  • Lleyton Hewitt(AUS) def. Milos Raonic(CAN)[23] 4-6 6-3 7-6(5) 6-3
久しぶりに見たヒューイットは、なかなか元気だった。相変わらず走れているし、ミスが少ない。ラオニッチのサーブをしっかり返せていた。次のジョコビッチは無理だろうけど、このくらい戦えているならば、まだ順位を戻せそうだな。
  • Andy Murray(GBR)[4] def. Michael Llodra(FRA) 6-4 6-2 6-0
マレーはそろそろ苦戦したりするんじゃないかと思っていたけど、今回は安定している模様。さすがに3回戦まで安定している状態ならば、ジョコビッチに当たるまでは負けないかな。
  • Ekaterina Makarova(RUS) def. Vera Zvonareva(RUS)[7] 7-6(7) 6-1
優勝候補2番手に上げていたズボナレワがこんなところで負けてしまった。
  • Richard Gasquet(FRA)[17] def. Janko Tipsarevic(SRB)[9] 6-3 6-3 6-1
ティプサレビッチ優勢の接戦になることを予想していたんだけど、ガスケがストレートで勝利。試合見てないんだけど、ティプサレビッチの体調が悪かったの? それともテニスの内容でガスケが圧倒したの? 後者だとすると今回はなかなかいいガスケみたいだ。
  • Mikhail Kukushkin(KAZ) def. Gael Monfils(FRA)[14] 6-2 7-5 5-7 1-6 6-4
モンフィスもこんなところで負けてしまうとは。
  • Kei Nishikori(JPN)[24] def. Julien Benneteau(FRA) 4-6 7-6(3) 7-6(4) 6-3
そして錦織。今回も苦しい戦いだったねー。錦織自体の戦術は、エブデン戦みたいな自滅パターンではなく、去年からの安定感のある強い戦い方だったんだけど、やはり疲れがあったのか、時々不安定になる時間があって、リードしても守りきれない展開が続いた。

まあ疲労はベネトーの方が最終的にはきつそうだったけど。あと、ベネトーが長いストローク戦を避け、リスクを取って前に出る攻撃をうまく使っていたのも苦戦した理由だったか。

最初から最後までとても苦しい試合展開だったんだけど、それでもきっちり勝利できたのはすごい。

特に最後の方はどちらもかなり疲労が隠せない状態になっていたんだけど、そこでベネトーはミスが早くなったのに対して、錦織はミスが少ない安定した戦いを継続した辺り、フィジカル的に強くなったことを感じる。

特に終盤に、サーブやストロークで無理な強打をしていないのに、今までよりも力強い球が行き始めたのがすごかった。錦織の場合は、自分の意思で強引な強打をしようとしているときよりも、ナチュラルに打つ球に勝手に力がこもってくるような時が非常に強い。

さてこれで次は今大会調子が良さそうなツォンガ。さらに7日目には伊達とのミックスダブルスもある。フィジカルコンディショニングが非常に難しいスケジュールだけれども、ミックスダブルスでいまいち決定力が低いネットプレイの練習をしつつ、ツォンガ戦に備えて欲しい。

  • Rika Fujiwara(JPN) /Ayumi Morita(JPN) def. Iveta Benesova(CZE)[10] /Barbora Zahlavova Strycova(CZE)[10] 6-4 3-6 7-5
藤原紀香藤原森田ペアが2回戦を突破した。森田もダブルスでネットプレイを鍛えて、シングルスでの決定力強化に活かすことができれば、これからさらに強くなれそう。森田はWTAレベルでこなす試合数が少なくなりがちだから、ダブルスにも積極的に出て試合数をこなした方がいいし。ここでランキングを上げれば、藤原と二人で出られる大会も増えるのでは。まあ藤原が森田と一緒にツアーを回るのは、シングルスランキング的に厳しいが。

7日目の注目試合は以下。

  • Kim Clijsters(BEL)[11] vs. Na Li(CHN)[5]
  • Bernard Tomic(AUS) vs. Roger Federer(SUI)[3]
  • Caroline Wozniacki(DEN)[1] vs. Jelena Jankovic(SRB)[13]
  • Kimiko Date-Krumm(JPN) /Kei Nishikori(JPN) vs. Gisela Dulko(ARG) /Eduardo Schwank(ARG)
クライシュテルスとリーナという、優勝候補がここでぶつかってしまう。GSでの実力とシード順がかみ合っていないから、この辺りからもったいない組み合わせが増えてきそうだ。

トミックのテニスがフェデラーにどこまで通じるか。フェデラーの早い攻撃をトミックが守りきれずにフェデラーが圧勝すると予想しているけれども、フェデラーの攻撃をトミックがいなせるようならば、トミックの潜在能力はトップ4に匹敵する。去年の全米ではジョコビッチ相手にもうまくいなせていたから、フェデラー相手にも通じる可能性はある。

ウォズニアッキとヤンコビッチも、GSならばほぼ互角の戦いになるだろうか。同じようなディフェンシブな選手同士の長い戦いになりそう。

そして伊達と錦織のミックスダブルス。相手はどちらもダブルス巧者のペア。ほぼ勝ち目はないだろうけれども、うまいネットプレイヤーと実際に戦っていろいろ試せるのは、次のツォンガみたいなネットプレイもうまい選手と戦うときの参考になりそう。マーガレットコートで女子ダブルス、レジェンドダブルスの後の3試合目だから、日本時間11:30~12:30に開始かな。WOWOWは録画放送予定らしいが。

Published At2012-01-22 10:22Updated At2012-01-22 10:22

テニス観戦記
2012全豪オープン5日目Edit

  • Bernard Tomic(AUS) def. Alexandr Dolgopolov(UKR)[13] 4-6 7-6(0) 7-6(6) 2-6 6-3

期待通り面白い試合だった。ドルゴポロフのできも悪くなかったし、第4セットの後半からはトミックがわかりやすく体力切れを起こしていて、ものすごく動きが悪くなっていたのに、それでも最後はトミックが勝利。

ドルゴポロフは得意の早くてトリッキーな攻撃に持って行くのが難しく、トミックのスライスや遅くてためのあるストロークを使った遅い展開につきあわされる時間が長くなってしまい、それを打破しようとして自分のミスがかさんでしまった感じ。

トミックは最後の方はフットワークがほとんど使えなくなっていまい、追うのをあきらめるボールも増えていたんだけど、ためがあってコースがわかりにくいストロークと、フィジカル(身長)に裏付けられたサーブの強さが、疲労がたまっても有効に働いた。

次はフェデラーか。フェデラーの攻撃力がトミックのディフェンスをあっさり上回るような気がするんだけど、もしもトミックのディフェンスがフェデラーの攻撃をしのいで、トミックのペースに持ち込めるようだったら面白い試合になりそう。あの不思議フォアハンドがフェデラーにも通じるのか見てみたい。

  • Kim Clijsters(BEL)[11] def. Daniela Hantuchova(SVK)[20] 6-3 6-2
それほどできが良くないんじゃないかと思っていたクライシュテルスが、ハンチュコワに圧勝。内容を見ていないんだけど、もしもハンチュコワが悪くないできなのにこの結果だったのなら、クライシュテルスは完調ってことだな。
  • Nicolas Almagro(ESP)[10] def. Stanislas Wawrinka(SUI)[21] 7-6(2) 6-2 6-4
ワウリンカが勝つんじゃないかと思っていたのに、アルマグロのストレート勝ち。去年からアルマグロはハードコートでも強くなっているんだなー。

6日目の注目試合は以下。

  • Milos Raonic(CAN)[23] vs. Lleyton Hewitt(AUS)
  • Andy Murray(GBR)[4] vs. Michael Llodra(FRA)
  • Janko Tipsarevic(SRB)[9] vs. Richard Gasquet(FRA)[17]
  • Julien Benneteau(FRA) vs. Kei Nishikori(JPN)[24]
ラオニッチとヒューイットという、対照的なプレイスタイルの二人の戦い。ヒューイットがラオニッチのサーブをしっかり返せるかどうか。

ほかのトップ4とは違って、マレーの場合は3回戦辺りでロドラクラスに当たると、そっと負けてしまう危険性を感じて怖い。大丈夫だろうな。

ティプサレビッチとガスケの戦いも、どちらかが勝つかわからないな。

そして、錦織の3回戦はベネトーが相手。どっちも体力に不安がある状態だが、シモンと死闘を繰り広げて消耗したベネトーの方が体力的にはきついかな。ただ、錦織はエブデン相手に独り相撲で苦戦した感があって、安定感的な不安が大きい。

コート3の3試合目。2試合目がNB12:30の女子シングルスで、その次だから、現地時間で14:00~15:00の間にスタートか。日本時間だと12:00~13:00くらい。昼飯の準備を早めにしておこう。

Published At2012-01-21 10:23Updated At2012-01-21 10:23

テニス観戦記
2012全豪オープン4日目Edit

  • Kei Nishikori(JPN)[24] def. Matthew Ebden(AUS) 3-6 1-6 6-4 6-1 6-1

3セット中盤までの、だめだめっぷりは何だったんだろう。

ギルバートが付いてから身につけた、ディフェンシブな打ち合いをベースにした戦術。特にバックハンドの安定した強さで優位を作り、相手がミスをしてくれればそれでよし。相手がミスをしなければ、そこから本来の攻撃力を使って展開していく。という、盤石の戦い方をすっかり忘れたような戦い方。

早い段階でコースを変えて強打で攻撃していくリスクの高い戦術は、ことごとくウィナーよりもエラーの数が上回ってしまい、自滅していく展開。

なにやっとんじゃこりゃー!と3セット目の序盤までフラストレーションをためてみていたのだけれども、3セット目の中盤から徐々にじっくりと打ち合う機会が増えていき、それに従い本来のストローク力の差が出始めて3セット目を取り返し、4、5セットは完勝。それ、第1セットからできたんじゃないの? なんで最初の2セットは今までと戦術を変えちゃったの?

と、勝ったけれども、見ていてとてもフラストレーションがたまる試合だった。ああいうディフェンシブな戦い方じゃトップ4とかとは戦えないし、今回の全豪は環境があまり良くない(主に気温+風)から、あまり長い戦いにはしたくないのはわかるけど、それにしたってあの戦術の選択肢はなかったんじゃないか。単に不調だったというのではなく、序盤は意識的にリスクを負った戦術を選択していたよね。

まあでも勝ったからいいや。体力消耗しすぎたところに、伊達とのミックスダブルス参戦決定とか、3回戦以降の先行きが怖いけれども、何とかコンディショニングして頑張ってくれ。

  • Lleyton Hewitt(AUS) def. Andy Roddick(USA)[15] 3-6 6-3 6-4 Ret.
ロディックも怪我を減らせないねー。
  • David Ferrer(ESP)[5] def. Ryan Sweeting(USA) 6-7(4) 6-2 3-6 6-2 6-3
  • Mikhail Kukushkin(KAZ) def. Viktor Troicki(SRB)[19] 5-7 6-4 6-2 4-6 6-3
  • Julien Benneteau(FRA) def. Gilles Simon(FRA)[12]7-5 7-6(8) 1-6 3-6 6-2
フェレールがスウィーティング相手にフルセットやらかしてる。スウィーティングの調子がいいのかな。

トロイキはククシュキンにフルセットでやられてシードダウン。

シモンはベネトーにフルセットでやられた。これで錦織の次の相手はベネトーの方になった。ベネトーもフルセットの長い試合をやってくれたから、体力的にはほぼ互角か。

  • Nicolas Mahut(FRA) def. Tatsuma Ito(JPN) 1-6 7-6(6) 6-2 6-2
竜馬はセカンドセット中盤まで圧倒していたのに、セカンドセットタイブレークを有利な展開から落としてしまい、そこからはミスだらけのぐだぐだな試合になってしまった。

マウーは足の怪我もあってあまり良くなかったし、竜馬が自分からミスをしなければ十分チャンスがあったのに。

ミスが増えた理由はよくわからないけど(攻め急いだ?)、負けた理由はショットの強さや技術力ではないと思う。メンタル? 経験?

マウーはセカンドセットからリスクを取って自分からの攻撃を増やしていって、結局それがうまくいったってことなんだろうなー。マウーにリスクを取らせた段階で、竜馬の方が優位に立てたはずだったんだけど。

もったいないけど、経験値としてはでかいだろう。次は錦織と一緒にデビスカップか。

5日目の注目試合は以下。

  • Alexandr Dolgopolov(UKR)[13] vs. Bernard Tomic(AUS)
  • Kim Clijsters(BEL)[11] vs. Daniela Hantuchova(SVK)[20]
  • Stanislas Wawrinka(SUI)[21] vs. Nicolas Almagro(ESP)[10]
ドルゴポロフとトミックの戦いは、今の調子を考えるとトミックが圧勝しそうな気がする。ドルゴポロフのトリッキーな戦いは、トミックの不思議なテニスに吸収されてしまいそうだ。

休みがちだったクライシュテルスが優勝を狙えるレベルに仕上げてきているのかは、ハンチュコワとの戦いでだいぶ見えてくるんじゃないかな。格下相手に勝ってきても本当の調子が見えないけど、ハンチュコワとの戦いならば現時点での戦力が見えてきそうだ。

ワウリンカとアルマグロのシングルバックハンド強打対決。個人的にはオールヨネックスになったワウリンカがもう一度トップ10まで戻ってくることを期待しているんだけど。期待していたバグダティスに勝った分も頑張って欲しい。できればナダルとのいい勝負がみたい。

Published At2012-01-20 09:04Updated At2012-01-20 09:04

テニス観戦記
2012全豪オープン 3日目Edit

  • Rafael Nadal(ESP)[2]    def.      Tommy Haas(GER) 6-4 6-3 6-4

ハースいいショットは打っていたんだけど、安定感がいまいちだった。ナダルは初戦ほどの盤石感はなく、ハースの攻撃に押されるシーンもあったけど、全体的にはまだ余裕がある感じ。ただやっぱり調子が良くても、ハードコートで相手の攻撃が鋭い場合は、ナダルの強さがいまいち活かしにくいな。

  • Bernard Tomic(AUS)    def.      Sam Querrey(USA) 3-6 6-3 7-6(3) 6-3
ファーストセットを落とすし、序盤は疲れが残っているような仕草や、足に違和感があるような仕草をしているから、ベルダスコとの死闘で消耗しちゃってるのかなーと思っていたんだけど、今回はベルダスコ戦のような強打をあまり多用せず、いつものぬるぬる気味のテニスを中心にしながらも、あっさりクエリーに勝ってしまった。やっぱりトミックは才能がすごい。これは今年トップ10入ってくると予想。
  • Roger Federer(SUI)[3]    def.      Andreas Beck(GER )Walkover
フェデラーは相手のキャンセルで2回戦は戦わずして3回戦に進めた。前哨戦で背中を痛めているフェデラーとしては、コンディショニングに時間を使えるようになったんで、状況はより良くなった。
  • John Isner(USA)[16]    def.      David Nalbandian(ARG) 4-6 6-3 2-6 7-6(5) 10-8
ナルバンディアンはとてもいい(技術のある)プレイをしていたのに、最後ジャッジでもめたのを引きずったのか、ファイナルセットの延長ゲームで負けてしまった。ただその前に、何度もブレイクチャンスが来ていたときに、チャンスボールをミスっていたのが問題か。チャンスからの得意のバックハンドクロスとかが入らなくて、自分でも呆然としていたからな。
  • Stanislas Wawrinka(SUI)[21]    def.      Marcos Baghdatis(CYP) 7-6(3) 6-4 5-7 6-1
非常に荒れた試合になっていた。バグダティスが自分の調子は悪くないのに、思い通りにならないことにフラストレーションをためていて、ベンチで予備のラケットを2本破壊していた。観客もやけに騒いでいたし。ただ、バグダティスの調子は悪くないけれども、それ以上のワウリンカが良かった感じ。かなり難しいショットをきっちり入れていたし。ワウリンカはオールヨネックス契約になって調子が上がっているんじゃないか。ヨネックスのウェアも、他の選手よりもだいぶ着こなしている感じで好印象。

そして4日目の注目試合は以下。

  • Lleyton Hewitt(AUS)    vs.      Andy Roddick(USA)[15]
  • Matthew Ebden(AUS)    vs.      Kei Nishikori(JPN)[24]
  • Tatsuma Ito(JPN)    vs.      Nicolas Mahut(FRA)
  • Kimiko Date-Krumm(JPN) /Shuai Zhang(CHN)    vs.      Su-Wei Hsieh(TPE)[14] /Galina Voskoboeva(KAZ)[14]
錦織と杉田の2回戦が第2、第3試合にある。さて2回戦も勝ち抜けるか。

Published At2012-01-19 08:15Updated At2012-01-19 08:15

テニス観戦記
2012全豪オープン 2日目Edit

  • Kei Nishikori(JPN)[24] def. Stephane Robert(FRA) 6-1 7-6(7) 6-0

すばらしかった。去年後半からの調子と、現在のランキング、そして今回得たシード、事前エキシビジョンの結果、それらすべてから期待していたような試合内容だった。

出だしから格下を圧倒しつつも、錦織のプレーとしては全然無理をしていない余裕がある試合内容で、1セット目をあっさりと取る。

セカンドセットは錦織のエラーが目立ちつつ、それに釣られるようにロベールの調子も上がってきて、ブレイクを先行される苦しい展開になりつつも、相手のサービングフォーセットで突然安定感を取り戻し、1セットのような安定したプレーであっさりブレークバック。タイブレークでは再びロベールのいいプレイも出てきて競り合う展開になるが、最後はサービスエースで振り切ってセカンドセットももぎ取る。

セカンドセットをぎりぎりで落として多少気落ちしたであろうロベールに対して、錦織はサードセットに入っても安定したプレーを続けて、ベーグルを焼いてストレート勝ち。

見事なシード選手の戦い方だ。これはもう期待しちゃうよ。

  • Tatsuma Ito(JPN) def. Potito Starace(ITA) 6-3 4-6 6-3 6-4
そしてそれに竜馬も続いた。

試合内容自体は序盤と終盤をちょっとずつしか見れていないんだけど、対戦相手を考えると、竜馬は普段よりも無理して攻めるような展開に持ち込み、博打的なショットが入ってこないと厳しいかなーと思っていた。

が、見ている範囲では竜馬は普段通りの戦い方で、十分スタラーチェと戦えているように見えた。これができるなら、100位以内定着も難しくなさそう。

サードセットを取ってリードした後も、もしかしたら体力的に厳しくなって追いつかれちゃうかもとか思っていたんだけど、サービングフォーマッチをきっちり取り切る安定した勝ち方。

GSでこんな勝ち方ができるなら、ATPツアーレベルでも普通に勝ったり負けたりできそうだ。今年はこれをきっかけにATPツアー中心に回って結果を残して欲しい。

  • Novak Djokovic(SRB)[1] def. Paolo Lorenzi(ITA) 6-2 6-0 6-0
試合内容は全然見ていないんだけど、ちらっとスコアを見たら序盤で1ブレイク先行されていて、前哨戦スキップして乗り込んできたけど、もしかしてやっぱり体調いまいちだったのか?と不安に見ていた。

けど、その後見たら俺が見た1-2のスコアから、1ゲームも取らせずにストレートで勝ったのね。スタッツを見ても特に何ということはない内容だったってことは、ごく普通にプレーをしていただけで圧倒してしまったって感じなんだろうな。さすが強い。

  •  Andy Murray(GBR)[4] def. Ryan Harrison(USA) 4-6 6-3 6-4 6-2
ハリソンの捨て身の攻撃を食らってまさかのアップセットがあるかもと予想していて、実際ファーストセットを落としてどきっとさせたマレーだけれども、その後は競ることなく余裕のある勝ち方をしたみたいだ。けど、トップ4の中では一番不安な立ち上がりか。
  • Sorana Cirstea(ROU) def. Samantha Stosur(AUS)[6] 7-6(2) 6-3
今大会で最初にやらかしてしまったのは地元期待のストーサー。この人もマレー的なメンタルの持ち主だからなー。去年GS取れたのがかなり奇跡的な気がする。
  • Matthew Ebden(AUS) def. Joao Souza(BRA) 6-3 7-6(1) 6-2
次の錦織の相手は前評判通りEbdenに決まった。調子は良さそうだけど、さすがに現時点では錦織の方が上だろう。できればこういう上り調子の相手と戦っても、きっちりいなして、それほど苦戦せずに勝てると、安定してポイントを稼げるようになるだろう。
  • Gilles Simon(FRA)[12] def. Danai Udomchoke(THA) 6-1 3-6 6-7(5) 6-3 6-2
シモンはウドンチョク相手にやけに苦戦しているな。順当ならば錦織と3回戦で当たるドローだが、この調子だとベネトーの方が上がってくるかもなー。
  • Nicolas Mahut(FRA) def. Radek Stepanek(CZE)[29] 7-5 7-5 6-3
そして、竜馬の次に相手はマウーになった。ステパネクを競りながらもストレートで倒したってことは、結構調子は良さそうだ。という相手に竜馬がどこまで戦えるか楽しみ。

3日目で面白そうなのは、以下の組み合わせかな。

  • Tommy Haas(GER) vs. Rafael Nadal(ESP)[2]
  • Sam Querrey(USA) vs. Bernard Tomic(AUS)
  • John Isner(USA)[16] vs. David Nalbandian(ARG)
  • Stanislas Wawrinka(SUI)[21] vs. Marcos Baghdatis(CYP)
ハースが調子よくてナダルのディフェンスを打ち破るような球が打てるようだと面白い試合になるだろうけど、1回戦のナダルの調子を見る限りは、その可能性は薄いかなー。

1回戦大逆転で勝ったトミックとクエリーの組み合わせはかなりかみ合いそう。

1回戦相手のリタイアで楽ができたナルバンディアンは、イズナー辺りに勝っていかないと順位を上げていくのは苦しくなるだろうなー。デビスカップ並のパフォーマンスを見せれば勝てるはずだが。

ワウリンカとバグダティスの戦いは、ランキング的にはワウリンカの方が上だけど、ここ最近の調子を見るとバグダティスの方があっさり勝ってしまいそう。

Published At2012-01-18 06:57Updated At2012-01-18 06:57

テニス観戦記
2012全豪オープン 1日目Edit

  • Eleni Daniilidou(GRE) def. Kimiko Date-Krumm(JPN) 6-3 6-2

伊達残念。序盤を見ている限りは、互角以上の勝負をできそうに見えたんだけど、相手のスライスでの粘りが非常に良かった。それに対して、伊達の自分から攻撃にいってのミスが非常にもったいなかった。

見ていて、錦織がスタコフスキーに負けた試合を思い出したな。 いい攻撃をして有利な展開に持って行けても、相手がぎりぎり深いスライスで粘るのをなかなか打ち破れず、より厳しい球を打とうとしてミスが出てしまうパターン。

伊達的には十分いい球を打っているように見えるし、あとは最後の最後でポイントを取りきれるかどうかの瀬戸際のせめぎ合いが、伊達の方に転ぶようになればWTAレベルでも勝てるんだろうなー。何かもう一つ武器があるといいんだけど。ネットプレイがそうなればいいんだけど、アプローチからの展開はあんまりいい感じになってなかったしなー。

  • Petra Cetkovska(CZE)[32] def. Ayumi Morita(JPN) 3-6 6-1 7-5
森田も惜しかったなー。出だしとてもいい攻撃ができていたし、終盤もいいポイントが取れていたのに、勝ちきるところまでいけなかった。どうしても弱いサーブゲームの分をカバーするように、リターンゲームでいい攻撃ができていたんだけど。

森田は特にGSではメンタルの影響がものすごく大きいように見えるなー。集中して攻撃できているときはものすごくいいプレイをしているように見えるのに。あの集中している時間帯を、大事なポイントのときに効率よく出せるといいのに。

  • Bernard Tomic(AUS) def. Fernando Verdasco(ESP)[22] 4-6 6-7(3) 6-4 6-2 7-5
そして、昨日のベストマッチかな。ぬるぬるテニスのトミックが、序盤から結構攻撃的な球を多用していたのは、プレイスタイル変更なのか、それとも地元の期待にこたえて頑張ってみせたのか。サーブもストロークもとても良かった。あの妙なタイミングで押し込むようにゆったりと打つフォアハンドも時々みせていたし。

それにしてもベルダスコも、この展開で負けちゃうのはだめだなー。トミックの有言実行バックハンド攻めを打ち破れなかったのが痛かった。まあだめなときのいやなダブルフォルトとかはそれほど目立たなかったし、ベルダスコが悪かったというよりは、トミックが良かったんだろうけど。

それにしてもトミックはすごいなー。元々体ができていなくて、ATPレベルで戦っているときですら本気を出していない感じだったのが、今年からついに本気を出すのか? 怪我さえしなければ一気にトップ10まで届いちゃいそうだな。

  • Roger Federer(SUI)[3] def. Alexander Kudryavtsev(RUS) 7-5 6-2 6-2
フェデラーはまあ普通のできかなー。ただ、ダブルファーストを打ってみたりしていたのが、体調に不安を感じていて、強引にサーブでショートポイントを取りたがっているの?とちょっと気になった。
  • Rafael Nadal(ESP)[2] def. Alex Kuznetsov(USA) 6-4 6-1 6-1
去年の後半からぱっとしなかったナダルのイメージが覆された。良かった頃のナダルにだいぶ戻っているな。特に去年後半いまいちだったバックハンドがハードコート用のいつもより速い球をしっかり打てていたし、精度が落ちていたフォアハンドのランニングショットも、良かった頃のえぐくポールを巻き込む球になっていた。

予想では優勝候補から外していたんだけど、これは優勝候補の上位に持ってきても良かった。オフシーズンにきっちり調整してきていたんだね。

  • Alexandr Dolgopolov(UKR)[13] def. Greg Jones(AUS) 1-6 4-6 6-1 6-1 6-2
上位陣が1回戦から多少手間取るのは、GSの調整としてはよくあるんだけど、ドルゴポロフは波が大きすぎ。フルセットの内容だけど、各セットはほとんど一方的な展開ってどうなってるんだ。
  • David Nalbandian(ARG) def. Jarkko Nieminen(FIN) 6-4 4-2 Ret.
前哨戦で活躍したせいで力尽きたニーミネン。はともかくとして、そのニーミネン相手にいい勝負してしまっているナルバンディアンは、あまり調子が良くないのかな?
  • Lukas Lacko(SVK) def. Ivan Ljubicic(CRO)[28] 3-6 4-6 6-3 6-4 6-4
  • Flavio Cipolla(ITA) def. Nikolay Davydenko(RUS) 6-4 4-6 3-6 6-2 6-1
ルビチッチ、ダビデンコが1回戦フルセットで負けている。この辺がもう一度復活してくるのを楽しみにしていたんだけど、もうだめなのかなー。

Published At2012-01-17 07:06Updated At2012-01-17 07:06